神々の怒り

 オリンピックのバカ騒ぎのかげで「四国豪雨」の凄まじい被害の様子が断片的に報道されている。香川県大野原町の映像で、公民館を呑みこんだ濁流がどうどうと滝の如く流れている映像は衝撃だった。ときおり白い背鰭をみせてうねりながら走る泥流はまさに龍だった。
 古代より雨を司る水神は「龍」であった。京都貴船神社は高おかみ(「雨のしたに口を三つ書いてそのしたに龍」という字なんですが出ません)神を崇敬してきた。祈れば雨を降らせ、ひたすら庶幾(こいねが)えば雨を止めることができた。
 新潟、福井、四国と龍神は止雨の願いを聞き届けなかった。19世紀以降、自然に唾を吐きつづけた人類へのしっぺ返しであったのだろう。とくに日本人は自然と共存して何千年もこの小さな島々で生きてきた。山にも川にも空にも海にもそれぞれに神々がおわした。それらを無視して大地を切り刻んできたつけをそろそろ払わされる時期にきているのだ。もう少し神々の発する悲鳴に耳を傾けて、謙虚に生きなければいけなかった。
 2050年には中国が14億3700万人、インドが16億2800万人になり全世界で人類は93億人に繁殖するという。これぢゃあ神々の居られる場所はなくなるわけだ。怒るのもあたりまえと言えばあたりまえだのクラッカーか。