「国歌とスポーツ」何をどう歌うか 考えるまでもない

 オリンピックを機に、また国歌がどうの、国旗がどうの、という議論が噴出している。スポーツライターの永田洋光氏はイギリスや南アフリカに例を引き、猛烈なブーイングを受けた国歌(他民族の嫌悪する国歌)を変更したり、変更を前提にして議論をすることはタブーではないとし、中国であからさまな反発を受けた「君が代」をどうすればいいのか、と問題提起をしている。
 この指摘は甘い。ウェールズにしろスコットランドにしろ南アフリカにしろ、国歌に対して嫌悪を表明している人々は差別や戦争の被害の当事者たちなのである。そりゃぁ敵対する民族の国旗、国歌を嫌悪するでしょうよ。
 では、アジアカップでの中国観客による君が代や日本選手へのブーイングはどうかと言えば、あの憎悪を露わにした中国人の多くが若者だったことである。彼らは中国での戦争の直接的被害者ではない。戦争は2世代も前の話なのである。多分、日本の多くの若者と同様に「戦争被害」といっても実感としてわかない世代であり、戦争を知らないのである。現実に争いや対立が目の前にあるイギリスや南アフリカとは根本条件が違うのだ。
 そんな若者がなぜ「君が代」や「日本人」に過剰に反応するのか。それは簡単な話で、中国政府が国策として日本への嫌悪感を国民に刷り込んでいるからである。他国を貶めようとする姑息な外圧に右往左往する必要はない。毅然と撥ね付けることが肝要だ。
 荘厳な「君が代」は他国にはない個性的な旋律だし、オリンピック選手の胸に輝く日の丸は日の出ずる国を表している。単純明快でいいじゃないか。
 私たち日本人は国旗、国家にもっと誇りをもっていい。