うちの近所に矢作(やはぎ)川という河川が流れている。名の由来は、日本武尊が当地に駐留し、対岸の賊を平定するに際し、矢作部が川辺に自生する竹で矢竹を作ったことによるというから、かなり古い。
 古代より矢を作ることを矧(は)ぐといった。「刃で(矢竹)を割く」から「刃割く」、「刃ぐ」、「矧ぐ」と変化していったものであることは容易に想像がつく。矢竹のことを「篦(の)」という。なぜ「篦」かといえば、矢の度(のり)からきたという説がある。度とは差し渡しとか長さのことで、矢の竹の長さのことをそういったのだろう。
 弓道をやっている人は周知のことなのかもしれないが、矢に細かい部分の名称がある。先端は鏃で、その根元を沓巻、篦があって、下作(もとはぎ)があり矢羽がついて、しんがりが筈(はず)で筈巻がそれを固定している。「そんなはずはない!」の「はず」である。
 矢羽の種類も多数あって鳥の種類や羽の色形によって区分され、鷲の尾羽の中でもその部位によって名称が違ってくるのである。
 いままでは「矢」という一字で片付けてきたが、その「矢」の中にこれほどの奥行きがあったとは、勉強が足りないなぁ。

 実は、昨日「図説日本合戦武具事典」(柏書房)3800円を買った。そのなかに「矢」のことだけで27ページも費やして詳しく書かれている。なかなか面白かったのでついつい矢のことを書いてしまった。や〜ね。(すいません)