ドロン、旅立つ

 アラン・ドロンもついにフランスに見切りをつけたか。

アラン・ドロンさん死去、88歳 仏俳優、「太陽がいっぱい」》

https://news.yahoo.co.jp/articles/8c33d6e442d27efc461b262b72626dab4b2d1bae

 ドロンがボルサリーノを小粋にかぶって歩いていたパリの街は大きく変貌してしまった。オシャレなパリジェンヌはパリの裏道を避けてしまい、結果として不良外人や不法移民のパラダイスになり果てた。そんなパリを見たくはなかったろう。

 

 昭和の後半に映画小僧をやっていたワシャとしては、アラン・ドロンはスター中のスターだった。最初に観たのは、場末の映画館で「太陽がいっぱい」。リバイバル上映で画面に雨が降っているのを覚えている。世間をな~んにも知らない中坊だったが、金持ちの放蕩息子を殺害し身分証を偽造して金と女を手に入れた貧乏なトム(ドロン)の明るいのだけれど悲しいラストに感動した。

 ジャン・ギャバンと共演した「地下室のメロディー」も佳かったねぇ。老ギャングと青年フランシス(ドロン)がタッグを組んでカジノの現金を強奪する。ギャバンとドロンの性格のコントラストがおもしろかった。

「サムライ」も名作だ。そもそもフランス映画で「サムライ」(LE SAMOURAI)という題に驚かされた。ドロンは殺し屋を演じるわけだが、この人、なにしろ犯罪者がよく似合う。

「さらば友よ」は、チャールズ・ブロンソンとの共演だった。なにしろこの映画はラストが印象的。親友のバラン(ドロン)とブロップ(ブロンソン)、事件の結末にまったく知らぬふりをして煙草に火をつける・・・カッコいい~!

 日本の侍が登場する西部劇「レッド・サン」も佳かったですぞ。作品としては大したことはなかったけれど、なにしろ三船敏郎とドロンとブロンソン、三大スターが共演ときたら、物語や演出などどうでもよくて、三船が刀で拳銃と対していくところなんざ、日本人として嬉しいじゃありませんか(笑)。

リスボン特急」はまあまあの作品だった。これも「さら友」と同じで戦場帰りの親友という設定。それはともかくもカトリーヌ・ドヌーブをこの作品で初めて観た。メチャメチャきれいなパリジェンヌだったなぁ。ドロンやドヌーブが颯爽と歩いてこそのパリの街、ドブ臭くて、ゴミだらけで、治安がお粗末ときた日には「花の都パリ」が泣きまっせ。

《青春恋愛映画のバイブル「小さな恋のメロディ」の主演コンビの約50年後が日本でドキュメンタリー映画化》

https://news.yahoo.co.jp/articles/5cadf1599047c594af97731687a5ac65fbf59807

 こちらは朗報。これまた映画小僧が何度も何度も観た名作の主役2人が来日していたとは。その来日をたどるドキュメンタリー映画が製作されているという。これは楽しみ。