沸騰は善いこと

 広島県安芸高田市議会が沸騰している。

 この日記の3月5日にも「必見!安芸高田市議会」という題で書いたが、さらにおもしろいことが勃発している。

《「不適切にもほどがある」石丸市長 安芸高田市議会「議会だより」修正予算案を可決 議会と市長の溝深く…》

https://news.yahoo.co.jp/articles/abd5a09a468ff80e610e060307e41a0b1732efd3

 市長と議会の対立の中の問題であっても、「議会だより」なる議会広報誌を安芸高田議会でも発行している。まぁ全国の議会で同じようなことをやっているだろう。

今回はこの発行費を執行部側が予算計上しなかった。市長は、「議会だより」が「切り取り」や「貼り付け」で本旨が違うものになっていると指摘し、その訂正をするために、多い時には広報誌2ページを費やしてきた。こういった嘘、出鱈目を「議会だより」として発行することに、公報としての役割は認められず、市側の訂正の申し入れも、聞き入れられなかったので「議会だより」自体の予算を削った案を提出した。これに対し、議会は議員提案ということで「議会だより」発行費用を計上した予算案を可決した。

 安芸高田市、なかなか活性化されてきましたね。石丸市長就任早々の議会では、居眠りする議員も見受けられたが、今の議会は緊張感のある丁々発止の舞台となっている。

 この「議会だより」についても、おそらく全国の多くの自治体がなあなあでやっているのは間違いない。そもそも議員の質問がどーでもいい質のものであるし、その質問自体を執行部側が作文しているのだから。

 それを「議会だより」という短い作文の中に要約するといっても、議員にそれほどの作文力はなく、結果として執行部に「まとめてね」とお願いするのが関の山。「まとめてね」じゃないか、「まとめろ」くらいのニュアンスですかね(笑)。

 話がずれた。安芸高田市議会の話である。

 議会の後、石丸市長が3月21日、本件に関しての「議員への意見聴取」を実施した。マスコミも入れて、YouTubeへのアップもありでの「意見聴取」に3人の議員が出席している。これね。

https://www.youtube.com/watch?v=cKwwPHA5_J0

 石丸市長と対峙したのは、古参の3人の議員だった。いわゆる保守系(自民系)の最大会派(過半数)は誰も出席していない。

 この映像を見る限り、ここに出席をされている3人の議員は、これはけっこうモノがよかった。おそらくワシャの知っている某議会だったら、トップクラスの議員だ。だから、安芸高田市議会議員を一括りにして論じることは間違いで、こういった議論のできる方々もいる。

 ワシャはよく、地方議員を「言葉が通じない」と評することがある。しかし、このYouTubeに出てこられた3人とは話ができそうだと思う。あとは、議場で市長にやり込められた保守系最大会派の議員たちが、どれほど日本語に通じているかが、安芸高田市議会の命運を握っていると言ってもいい。

 やり込められた議員の一般質問を見てみよう。ちょっと長いので割愛するけれど、ワシャにはまったく作為はなく、疑わしい方は議事録等でご確認あれ。

 議員の発言である。

「きにょう、○○議員の質問と私の質問は重なっとるようには・・・今、市長が答弁されて、意味がよう分からんと言うようなことを言われたんですが、わし、これ小学校の6年生が読んだら、分かる程度で自分で考えて、やったつもりなんですよね。これが分からん言うこと自体が、石丸市長は大丈夫なのかの、というふうに思うんです」

 石丸市長が、この議員質問の前に「昨日の○○議員の質問と重なっているので重複しては答えない」と言ったことについて発言している。

「きにょう」というのは「昨日」のこと、「意味がよう分からんと言うようなことを言われた」のは、当該議員の質問が、論旨が通らず何を言っているのか分からないことを市長が指摘したことを言っている。聞いていて、市長の言われるとおりだとは思う。しかし、普通の議員に「国語力の問題」などと指摘してはいけない。そもそも図書館に2年に1回しか通わない(ワルシャワの独自調査による)レベルの普通の議員に、国語力など求めることは無理がある。

 それでも、この保守系会派の議員、フニャフニャ言いながらも、原稿にはあまり目を落とさず、自分の言葉で精一杯市長とやり取りをしていた。

 この人なども、全国的に見ればけっこう頑張っている議員に入ると思う。

 ひるがえって言えば、それほど地方議員の質が低下しており、モノのいい人は極々わずかだと言える。

 もう一回ひるがえると、その程度の有象無象の議員がズラリと並んでいてくれた方が、執行部としてはやり易い。「先生、先生」と奉っておけば、執行部の言いなりになるからね(笑)。

 でも、それではいけない。地法自治を活性化するためにも、市側にも再考を求めたい。

 出でよ、石丸市長のような過激な首長よ。そして正しく議会と対決をせよ。