三木武吉の爪の垢

 1955年に保守政党である民主党自由党が大同団結して自由民主党を立ち上げた。それから68年経過し、残念ながら日比谷公会堂で誓った「自主憲法の制定」や「保守勢力の拡大」などはすっかり忘れ去られて、日本を壊そうと目論む「LGBT法推進者」や「親中派」が大手を振って「自由民主党でござい」と言って憚らなくなってしまった。

 三木武吉が命を賭けて成し遂げた保守合同で産声を上げた自由民主党。68年でここまで腐ったか。

三木武吉」という名前を出したが、自民党でない普通の方々にはなじみのない名前だろう。首相だった三木武夫とは一字違いだが、まったく縁もゆかりもない。三木武夫の一世代前の時代の政治家である。この人が、自由民主党を作り上げた黒幕だった。大宰相といわれる吉田茂がもっとも苦手とした政治家と言っていい。

 でもね、おそらく現在の自由民主党の議員で「三木武吉」という名前を何人が知っているだろう?

 これは自信をもって言えるが、自民党の地方議員は9割がた知らないだろう。いや、もっと高い割合で知らないかも。ワシャは性格が悪いのでこのことは検証していてね、ワシャが地方議員の何人かに「三木武吉って知ってますか?」と尋ねるのだが、ほとんどの議員は「え、誰?」と返ってくることばかりだった。これってワシャの周辺ばかりの話ではないよね。自民党成立の立役者を知らない自民党議員って大丈夫かいな?

 ワシャは自民党員ではないが(笑)、三木武吉関連の本を持っている。

水木楊『誠心誠意、嘘をつく』(日本経済新聞社

戸川猪佐武『小説 三木武吉』(角川書店

さいとうたかを『劇画 吉田学校』(読売新聞社

 この中で『誠心誠意、嘘をつく』の帯が判りやすいので引いておく。

 

《翼賛議員を「茶坊主」と一喝する頑固者。吉田独裁政権にとどめを刺した策略家。仇敵をたやすく陣営に取り込む人たらし・・・。見事な「策謀」の数々で安定政権を実現させ、戦後日本を復興へと導いた男》

《「私はタヌキと呼ばれておるが、国民を騙すことは、断じてない・・・」大義のためには、手段を選ばず――。かつて日本に、本物の政治家がいた。》

 

 なにしろ、この三木武吉という政治家は格好いいんですわ。おそらくその後、有象無象が政治家として国政に関わってきたけれど、ここまでの人物は安倍晋三氏まで見ることはなかった。その安倍さんすら、大義を成す前に逝かれてしまったが、三木武吉大義を成し、成したのちにさっさと彼岸に旅立った。

 取っつきやすいのは『劇画 吉田学校』だと思いますので、そこで三木武吉に出会ってくだされ。

 その三木武吉が命がけで作り上げた自民党が腐り始めた。公明党と組んでからその腐りは加速している。

 高市早苗さん、有村治子さん、小野田紀美さん、杉田水脈さん、山谷えり子さんなどモノのいい議員もいるが(って女性ばかりじゃん・泣)、あらかたは不勉強で、支援者には平身低頭、国民には反っくり返っているような小物ばかり。これらを支える地方議員も大方が、ボンクラ国会議員のスケールを小型化した程度の連中だからこの国はよくならない。

 三木武吉は、もっと高邁な理念に基づいて、この国の弥栄(いやさか)を念頭に置いて、自由民主党を作ったのである。

 ところが、現在、その三木武吉の遺産を引き継いでいるのが、歴代の首相の中でももっとも国家間のない、「やりたい施策は?」と問われると「人事です」と答える無能首相。

 三木武吉は草葉の陰で泣いているぞ!

 三木武吉が黄泉帰れば、張り倒されるぞ!

 もっと覚悟を持って国政を実行しろ!

 間延びした顔で中身のないことをペラペラ喋っているんじゃないぞ!

 三木武吉の爪の垢でも煎じて飲め!