ニャンコ先生、ありがとう

 昨日、近所のスマホショップに、「ケータイ」と「iPad」の更新に出かけた。先週、すでに2回そのショップに足を運んでいて、前回の時に7年目になっている「ケータイ」を新機種に替えるということで、取り寄せてもらうことにしていた。それが届いたのである。「iPad」は6年目で、支障はなかったんだけど、2つ合わせた通信料が1万6000円くらいになっていて、どちらも新しくすると7000円くらいになるということだったので、「だったら替えるべ」と相成った。

 ショップではもっぱら若いニーチャンが対応してくれた。ほっそりすらりとしたニーチャンで30歳になっているかどうか。それでもショップの責任者(店長)らしく、首に着けた小さなマイクから他の女性従業員に、いろいろと指示を飛ばしている。

 こっちが質(たち)の悪そうなオッサンなので、店長自らの対応になったのかもしれない(笑)。

 まぁ懇切丁寧に教えてはくれるんですよ。でも、客がまったくのメカオンチなもんですから、ニーチャン店長の言うことがほぼ理解できない。

 予定の1時間を過ぎプラス20分もオッサンに対応してくれていたが、ワシャのほうに予定があって、切り上げざるをえなかった。だから電話帳の履歴の移行までできずに時間切れ。ニーチャンは説明書を持ってきて「このとおりにやればできるから」と愛想はいいんだけれど、ため口でオッサンに教示してくれるのだった。

 その後、所用を済ませ自宅にもどった。説明書をひろげ電話帳を新しいケータイの方に移そうと、説明書どおりにするんだけれど、なんともうまくいかないんですね。30分くらい悪戦苦闘をして「めんどくせー!」と買ったばかりのケータイをぶん投げそうになったが、そこは堪えましたよ(笑)。

 そこでワシャは思い当たった。「下手な考え休むに似たり」、解らない人間がいくら考えてみても仕方がないので、予約もせずに再びショップに向かったのでありました。

 その日、2度目のショップ。ニーチャン店長は、高齢者のジイサンと打ち合わせテーブルでなにやら話をしている。つまり、ニーチャンはワシャの対応ができない。客はそのジイサンだけだったので、女性従業員が2人カウンターに余っている。その背の高い方がワシャの対応に出てきた。

「先ほどケータイとiPadを購入しまして、あの男性から説明を受けました。自宅に帰って電話帳を旧から新に移そうと試みたんですが、上手くいきません」

 女性従業員はワシャから古いケータイ(ニャンコ先生のストラップ付き)とまっさらな新ケータイを受け取って触っていた。何度も暗証番号を入力させられたのだが、うまくいかない。プロがこれではトーシローのワシャにできるはずもない(安堵)。

 それでも4回目くらいに成功し、2人して「やったー!」と喜んだのだった。なんで移行がスムーズにいかなかったなんてことは、移ってしまえばまったく興味がないので、丁寧にお礼を申し上げたのだった。そうしたらね、女性従業員がこう言ってくれた。

「旧い方についているストラップを新しい方に付け替えましょうか?」

 ありがたい申し出だったので快くお願いをした。かき氷を食べるニャンコ先生が新ケータイにくっついた。

「これニャンコ先生ですよね」

 女性従業員がそう言うので、「そうです」とそっけなく答えただけで、次のiPadの不具合についての相談に移ったのだった。iPadでは「ツイッター」ができない、「LINE」も「Google Map」も「メッセージ」も受信できなかった。それどころかこのブログさえ開けないのである。要はなにもできない状態だった。

「はぁそうですか・・・」

 女性従業員は事務的にそう答えた。

 それでも、嫌な顔を見せずに、まずはブログの立ち上げから始めてる。これはあっけなく復旧した。そしたら昨日の「夏目と友人たち」の写真がど~んと出たのである。

「あ、ニャンコ先生

 と、女性従業員は再び口にしたのだった。ワシャは「この娘、『夏目友人帳』のファンだな(笑)」と目星をつけ、こう切り返したのだった。

「今朝ね、うちの庭にニャンコ先生たちが集まっていてひそひそ話をしていたんで、こっそりカメラで撮影したんですよ」

「えーーー!」

 と、店内に響き渡るほど驚く女性従業員なのでした。

「ホントですか?」と聞かれても、ワシャは笑うしかありまへん。

 ここから5分くらい『夏目友人帳』の話になって、そうなれば『熱目友人帳』の研究者であるワシャの蘊蓄は面白いに決まっていて、女性従業員は真剣な表情でワシャの講義を聞いていたのだった。

「もう少しお話をしたいけど、ワシャはiPadが使えるようにならないと困っちゃうんでよろしくお願いします」

 と、話を戻したのだった。

 この5分が、いい意味で客と従業員という垣根が取り払ってくれた。そしてワシャがニャンコ先生のことしか知らないオッサンだということを理解してくれたらしく、「せっかくですから不具合は全部解消しましょう」と、しっかり対応してくれた。

 おかげでワシャの悩みはすべて解決されたのだった。

 これもニャンコ先生のおかげなのだった。めでたしめでたし。