アメフト・ボクシング・体操

 体操協会にもほころびが出始めている。ボクシング協会もそうだったし、アメフトも、レスリングも、その構造はみ〜んな同じ。要するに特定の連中が、長期にわたって権力を掌握すると、スポーツであろうと大学であろうと自治体であろうと、どんなに清い水でも一カ所に長く溜まっていれば、腐ってくることは当然のことなのだ。だから、ある程度の期間で交代して務めていくこと、新陳代謝が大切なのことは、古今東西論を俟たない。
 塚原光男氏は日本体操界の輝ける星だった。名誉だけを戴いて、ほどよい距離間で権力と付き合っていけば、体操界のレジェンドとしての名を恣にしていただろう。でも、体操協会にどっぷりと嵌まってしまって晩節を汚すか。それに夫婦で、副会長と本部長をやってちゃだめだって。嫁さんはさっさと身を引いて、ダイエットにいそしんでいればよかったのだ。
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《「塚原本部長に嫌われると大変」体操関係者らが語る塚原夫妻の影響力》
 よほど注意をしないと、組織には権力を傘に着るナンバー2というのが現われる。塚原本部長というのはまさにそれで、塚原光男氏の威光で「女子体操のテンノー」と呼ばれたわけだ。テンノーなんて陰口をたたかれた時点でそういうヤツは降板したほうがいいんだけどね。それがまた権力に執着するのである。
「塚原本部長に嫌われると大変。宮川選手以外にも『今日はナショナルトレーニングセンター使わせてもらえなかったんだよね』という選手もいた。ただ、いま携わっているコーチもそれを言うと、自分の選手もはじかれてしまう。それが怖くて、塚原に意見を言えない」
 これではダメだ。
 ワシャがガキの頃、塚原選手は体操オリンピックでヒーローだった。「月面宙返り」という新技は凄かった。ワシャらにできるわけがないが、それでもクソガキたちは鉄棒にぶら下がって「ムーンサルト!」と叫びながらぐるぐる回ってひっくり返っていたものである。それくらい格好よかった。でも、それほどの人でも、組織の中に入って権力を懐に入れると、それも夫婦そろって、長期間にわたってとなると、単なる濁世の凡夫に成り下がるんだね。

 でも仕方がないところもある。話が飛躍するが、大唐帝国の二代皇帝の体操は……間違えた太宗は名君だった。支那に帝国があまたあり、その帝国に幾代かの皇帝たちがいる。ざっと500人くらいか。その歴代皇帝をずらりと並べて、その中で一際抜きんでているのが太宗なのである。
後世の歴史家が口をそろえて史上最高の名君と言っているリーダー中のリーダー、後世、東洋の覇王・権力者たちがこぞってこの太宗から積極的に学んできた。それほどの人物なのである。そんな大人物ですら、長期に権力の座あぐらをかいていると、大失敗(高麗征伐、皇太子問題)を立て続けに犯してしまう。太宗にしてそうなのである。いわんや日本のチンケな組織のリーダーにおいておや。

 支那史上最高の皇帝ですらできなかったのだから、凡夫のリーダはなるべくショートサイクルで、なおかつ配下はつねに新しい血を入れていく、それも複数を並べる。そのくらいの配慮があってはじめて「健全な組織」が動くのではないか。