怒るオジサン、笑うオバサン

 一昨日のことであるJRのB駅のホームで快速の上りを待っていた。線路を2本はさんで下りのホームがある。午後10時を回っていたからか、あるいは電車が出てしまったばかりなのか、ホームに待つ人も少なかった。ワシャのほうも10分程待ち時間があったので、さっそく鞄から新書を出して読みはじめる。
 そこに突然「バカヤロウ!」という罵声が飛んだ。「なんで表示板をつけているんだ」「JRはきちんとしろ」「照明がもったいないだろう」「ベンチが座りにくいんだよ」……などと延々と大声で喚く白髪白髭のオッサンが、ホームの端のベンチに一人座っている。
 読書を止めて、何を言いたいのか注意して聴いていたが、内容はないようだ。ただ宙に向かって怒りを吐いているだけだった。それでもそのオッサン、近くに人が来るとなにも話さなくなってしまった。案外小心な人なのかもしれない。

 これは昨日のこと、夕方のA駅である。下りの普通電車を待っていると、30mくらい離れたところからオバサンの高笑いが聞こえる。「ブヒヒヒヒヒ〜ン」まるで馬のいななきだね。公衆の面前でやっていい笑い声ではない。パッと見、40ちょっと過ぎくらいか小太り以外に特徴のないオバサンである。別に女だからということではないが、公の場では少し奥ゆかしいくらいでちょうどいい。
同じホームでワシャの隣の列の先頭で電車を待つ高校生。ホームにべったりと座り込んでスマホゲームをやっている。自宅の居間で寛いでいるのとなんら変わらない様子だ。幸せといえば幸せな少年だろう。
 快速が来て乗り込む。混んでいる。とくに出入口付近にはサラリーマン風の人がたまっている。そこに後方から真っ黒に日焼けした短躯ビール腹のオニーサンがドスドスとやってきた。進行方向の人がいると「どいてどいて!」「どいてどいて!」と声を上げて前進していく。また少しすると(ワシャの視界からは見えないけれど)「どいてどいて!」「どいてどいて!」と声がする。もう一度「どいてどいて!」が聞こえて、ドアの閉まる音がして、オニーサンの声はしなくなった。

 メモをせっせとしている人もいて(笑)、いろいろな人がいるなぁ。