雲泥万里

 さようなら。麻央さん。まだお元気なころ、旧歌舞伎座のロビーでお見かけしました。お客に笑顔で挨拶をしていた麻央さんの和服姿がとてもすてきでした。海老蔵丈を支え、二人のお子様を育て、立派に梨園の妻を務められました。
 海老蔵丈はいずれ団十郎を襲名するわけですが、おそらく海老蔵丈は歴代の団十郎の中でも際立っていい役者になると確信しています。その原動力は、真央さんが海老蔵丈に与えたものです。真央さんとともに過ごしたすてきな時間、図らずも病と闘わなければならなかった日々が、必ずや海老蔵丈の芸の栄養になるはずです。
 先般、現歌舞伎座海老蔵丈の舞台を拝見しました。海老蔵丈は少し痩せたようにみえましたが、以前の舞台と比べると、内面からにじみ出てくる人間の味とでもいうのでしょうか、そういったものの量がまったく違っていました。これから歌舞伎役者として成長し、例えば「熊谷陣屋」の次郎直実を海老蔵丈が演じるのをぜひ観てみたい。人生の無常をみごとに体現するのではないでしょうか。
 麻央さんは、歴史に残る役者を創ったのだと思います。ご冥福をお祈りします。

 テレビでも週刊誌でもボロクソに報道されている豊田真由子衆議院議員
《また魔の2回生 自民・豊田議員離党届 「やはり」「人として危険」》
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170623-00000074-san-pol
豊田真由子衆院議員が自民党に離党届を提出 元秘書への暴行・暴言報道で引責》
http://www.iza.ne.jp/tokushu/tokushu-33697-t1.html?utm_source=yahoo%20news%20feed&utm_medium=referral&utm_campaign=related_link
 ワシャは違った観点から。
 まず顔立ちである。美醜を問いたいわけではない。目である。この人、猜疑的な色合いが強くにじんでいる。政治家には少なからずこの要素があるのだが、それが群を抜いている。どの写真を見ても、笑っている写真を見ても、目に険が出過ぎている。険相と言っていい。それに音声を聞く限り、気性の刺々しさは、生半可なものではない。

 それにしても、どういった人生を歩んでくるとこういった険しい気性になれるのだろう。東大法学部卒、厚生労働省に入省後、ハーバード大学の大学院に留学……ってむちゃくちゃ順調な人生じゃん。
 まぁ東大法学部がすてきな大学かどうかはともかくとして、普通はそこを出て官僚になった段階で、一般的な社会人としてのスキルは身に着けているのが普通ではないだろうか。
 豊田議員は、現在の科挙試験に受かった秀才で、トントントンと出世してきた。儒教国家だったら「士大夫」と呼ばれる国家の中枢を担う選良なのである。酒ばっかりかっ喰らって惰眠を貪る土民のワルシャワとは比べものにならない立派な人なのだ。
 でもね、その土民ですら、「鉄パイプでお前の頭を砕いてやろうか!」などとは絶対に言わない。それも明らかに立場の下の人間に対して。「この、ハゲーーーー!」も言ってはいけない。身体的なことを罵声として使うというのは、不倫騒動で衆議院議員を辞したニイチャンより、他人を傷つけているだけ、罪が重い。
 そしてこれは絶対ダメでしょ!
「お前の娘がさ、通り魔に強姦されてさ、死んだと」
「(政策秘書の)娘が、顔がグシャグシャになって頭がグシャグシャ、脳味噌飛び出て、車に轢き殺されても……」
「お前らは白痴か!」
「うん、死ねば?生きてる価値ないだろ」
 士大夫としての矜持はどこにある?選良としての自覚はどこにある?
 それにも増して豊田代議士のダメなところは、それが週刊誌に載るやいなや、入院をしてしまったことだ。とても繊細なハートの持ち主である(笑)。士大夫たる者、自分が招いた結果に対しての責任を取れよ。ドブネズミではないのだから、都合が悪くなったからといって、排水溝に逃げ込むような卑怯な真似だけはするな。