やすらぎの郷

 ううう……飲み過ぎた。でも頑張る。

 倉本聰さんの久々のドラマ『やすらぎの郷』が始まった。もちろんワシャは倉本ファンなので初回から録画して見ているが、毎日、15分ずつしか進まないので、なかなかまどろっこしい。老人ホームが舞台となっているのだが、だから主要な登場人物は高齢者ばかりということになる。ワシャは浅岡ルリ子さんが大好きなんだけど、今回はちょっと限界を感じている。八千草さんや加賀さんに引けを取るような人ではないのだが、一世を風靡した女優には原節子さんのような潔さも大切なのかもしれない。
 このドラマ、海辺に立つ高級リゾート老人ホームでいろいろな出来事が展開する。今後、どんなふうに流れていくのか、倉本脚本なので目が離せない。

 このニュースは番宣なの?
《<全老施協>不適正「飲食」 銀座で「会議」3300万円》
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170420-00000011-mai-soci
 この高級老人ホームが、老人福祉法上のものなのか解らないけれど、どちらにしても「老人福祉施設」ではある。こういったものの元締めである公益社団法人が、公費を使ってザギンで豪遊はまずいでしょう。元参議院議員の「偲ぶ会」など実費でやれ。要は社会福祉系の族議員でしょ。社会福祉法人の理事長をやっていたらしく、籠池氏とどれほど違うのかよくわからない。それでも亡くなってから「従四位」を追贈されている。およよ!藤原広嗣よりも位が上じゃんか。そんなもんで「従四位」なら、聖武天皇も広嗣に「従四位下」くらい気前よくやっておけばよかったのにね。

 やっぱり二日酔いか……そんなことはどうでもよかった。倉本さんのことである。倉本さんは『文芸春秋』の5月号に「老人ホームは恋の宝庫である」という文章を寄稿されている。その中でこんな提案をしておられる。
「老人だけが暮らすユートピアを作ろう」
 これがおもしろい。その前に、このニュースを見てくだされ。
放射性廃棄物 どこへ》
http://www.asahi.com/articles/ASK4M5D10K4MULBJ00Q.html
 ニュースの内容はどうでもいい。要するに「高レベル放射性廃棄物の処分地の目途がたっていない」と嘆いているだけの記事である。このことについて、愚かなる霞が関官僚に案はない。原子力関係の学者もな〜んも考えていない。それに対して、倉本さんがこう提案をする。
《どこか広大な土地を有する地方自治体にフィンランド放射性廃棄物最終処分場「オンカロ」のような洞窟を作って、そこに核のゴミを集中させる。そしてその上に、夢のような、八十歳以上の高齢者だけが暮らすユートピアのような街を造る。高齢者ばかりだから、学校は要らない。その代わりに、国が費用を出して病院や介護施設を充実させる。「やすらぎの郷」のような老人ホームも幾つか建てる。》
 この提案、いいと思う。今、全国に限界集落が増えている。人が住まなくなった町や村は売るほどある。だったらそこを国が買って「オンカロ」を作ればいい。そして全国の原発から放射性廃棄物を受け入れれば、少なくともトイレのないマンションの汚名は返上できる。その受け入れで財源を確保し、地上に街を造る。住むのは希望者だけでいい。倉本さんの言うとおり、80歳以上ならわずかな放射能など気になるまい。ワシャの両親なんか90近いのだが、恐いものなどまったくないですぞ。
 ワシャだって、「やすらぎの郷」のような場所があって、地下に放射性物質があるのさえ我慢すればいいのなら、絶対にそこに行きたいと思う。
 要は、発想の転換なのである。間違っても霞が関官僚には考えられないし、そもそも、東京暮らしにずっぽり浸かっているようなエリートには無理な話だろう。でもね、田舎に住んでいるものにとっては病院や介護施設が充実していれば、その他のことはよほど我慢ができる。
 放射性廃棄物の貯蔵をするため、どこぞの自治体に手を挙げてもらうなどということは、どだい無理な話だ。それをやった瞬間に首長の首が飛ぶ。だったら国有地を使う。あるいは支那中国資本に買収された土地をなんらかの方法で召し上げて(笑)、そういったところをまとめ上げて大規模開発すればいい。そこに全国から「オンカロ」と同居を条件に高福祉を保証して入居老人を募る。もちろんワシャも手を挙げる。倉本さんは言う。
《役所はこういう発想を「ご冗談を」と言って一笑に付すでしょうが、僕は、悠長に笑っていられる時期は長くないような気もするんです。》
 けっこう賛同者は多いのではないだろうか。また、過疎に苦しめられ限界集落を抱える地方の人間もこのことに希望を見いだすのではないか。

 やっぱり倉本さん、すごい人だなぁ。握手してもらってよかった。