お客様

 今朝は新聞が休刊なので、昨日の朝日新聞「声」の欄から。
 埼玉県の元タクシー運転手の方の投稿である。題は《「お客様は神様」ではないはず》。内容を要約するとこうなる。
《長くタクシーに乗務してきて、ほとんどが寸時の接客だったが、お客のちょっとした心配りや一言に感謝したことも多々あった。反対に横暴な客もいる。客であるということで、居丈高に怒鳴られることもあった。かつて三波春夫が「お客様は神様です」というセリフを大流行させた。その言葉が独り歩きして、以来、サービスを提供する側が、ただただ卑屈になってはいないか。己を「お客様」と勘違いしている「クレーマー」が横行している。サービス側が客に感謝の気持ちを持って接することは大切だが、もともと両者の関係に上下はないはずだ。》
 全文を書き写してもよかったのだが、欄外に「無断転載を禁止します」という強い言葉が記載されている。昔はそんなことは書いてなかった。「転載」されるとなにか問題でもあるのだろうか。議論が深まって面白いような気がするのだが……。新聞社としてはなにか困ることがあるんでしょうね。だから「要約」して載せました(笑)。
 そんなことはどうでもいい。元タクシー運転手の発言である。確かにもっともだ。このところ、店員に土下座を強要したり、必要以上のクレーム電話が入ったりと、「お前は何様だ!」と言いたくなるバカが増殖している。
 相田みつをの「せとものの詩」を使ったACジャパンのCMでもそうだった。
《セトモノとセトモノとぶつかりっこすると すぐこわれちゃう どっちかがやわらかければ だいじょうぶ やわらかいこころを持ちましょう そういうわたしは いつもセトモノ》
 いい詩じゃないですか。これに対して「大地震のあとで、瀬戸物が壊れるとはなにごとだ!」とクレームをつけたバカがいる。ここまでくると卑しい「言葉狩り」のレベルまで陥っている。このところ国家、行政、企業に対して上から目線でクレームを喚きたい人が目立つ。こういったところがクレームに対して及び腰だからつけあがっているのだ。この余波のようなものがタクシーに影響しているのかもしれない。
 ケネディ大統領の就任演説である。
アメリカを祖国とする諸君!諸君の祖国が諸君のために何をしてくれるかを問題とするな。諸君が祖国のために何をなしうるかを問題とせよ」
 己はなにもせずに、文句ばっかり垂れているんじゃないよ。タクシーに乗ったら客も目的地に快適に到着できるように努力しろよ。そうケネディは言っている(笑)。

 そうそう昨日のプライムニュースが面白かった。ゲストに西部邁さんが出ていたが、そのあたりはまた。