好女の色は、悪者の蘖なり

 書誌学者の谷沢永一は言う。
《誰にも共通した最も普遍的な最も強い情念は嫉妬である。人間性をとことん煮つめ煎じつめたら最後にどす黒い嫉妬の塊が残る。人間性の究極の本質は嫉妬である。》
 こういった有り様だから、頭が抜きん出た人はどうしても凡夫から嫉妬されてしまう。これは仕方がないことではある。しかし、うっとうしいことこの上ない。
 とくに見苦しい嫉妬というのが政治屋どもの嫉妬である。力量のないヤツほど、嫉妬心ばかりが強いからどうしようもない。
 4年前に書いた「議員の物差し」という日記である。
http://www4.diary.ne.jp/logdisp.cgi?user=427365&log=20050510
 この物差しで言うところの「梅議員」が、嫉妬の矢を放つことだけを生甲斐にしている議員が幅を効かせているから、地方議会が痴呆議会と揶揄されるのだ。

 冒頭に引いた谷沢さんの文章は『人間通』(新潮選書)にある。谷沢さんは別に『嫉妬する人、される人』(幻冬舎)という嫉妬だけに特化した本を上梓している。その中に嫉妬から上手に身を守る方法が書いてある。簡単に言えば「愛嬌があること。その上に無欲であること。控えめであること」なのだそうだ。そして「読書をすること」が嫉妬心を抑える要諦だと説いている。
《本を読むことは、学問をすることではありません。自分の精神をコントロールするこつを覚えることなのです。》
 自分の嫉妬心を見極めることができれば、敵の嫉妬心の実相も見えてくるに違いない。己を知り敵を知れば百戦危うからず。
 現在、頂点に立っている者、これから頂点をうかがおうとする者は、醜い嫉妬の矢をできるだけ受けないようにしなければならない。
 ちなみにワシャはアホなので誰からも嫉妬されない。だからとても気楽なのだった。めでたしめでたし。

 今日の題は「こうじょのいろは、あくしゃのげつなり」と読みます。「美女の容色は、醜い者にとっては害となり敵対視される」というような意味です。難しい漢字は「げつ」と読み「害」、「わざわい」という意味で、けっしてダンディ坂野のことではありません。(古!)