居待と花火と笹飾り

 今、西三河ではお祭りが華やかだ。
 まず、安城七夕祭りである。金曜日、土曜日、本日とJR安城駅周辺の市街地で開催される。道路が拡幅されたことと商店の衰退で笹飾りの本数はめっきりと減ってきた。ワシャの小さかったころの半分、あるいは3分の1程度の笹飾りしかない。個々の商店が高齢化し、笹飾りを作る労力も気力もなくなっているのだろう。昔は商店ではなくとも、一般の住宅でも玄関に大きな竹を立てて、久寿玉や笹飾りを出したものだが、今は往時の面影すらない。
 しかし、商店街組合とか七夕協賛会などのブースは元気だ。エリア内12か所ある特設会場ではいろいろなイベントが目白押しで、華やかに賑やかに夜は更けていく。
 笹飾りがスカスカになったとはいえ、ポイントによっては豪華に見える場所がある。その一つがJR安城駅前のペデストリアンデッキの南端から南に延びるフラワーロードを見下ろすポイントである。薄暮、ここに好きな人と佇んで御覧なさいよ。必ず恋が成就しますぞ。なんてったって七夕の物語は織姫と彦星の恋のお話なんですから。
 日が暮れると、東の空から、「ポンポン」と破裂音がとどく。おおお、岡崎の花火大会が始まったようじゃ。
 東の空には、居待の月が皓皓と輝いている。その月を彩るかのようにいくつもの花火が揚がる。その足元で無数の短冊がサラサラと風に吹かれていた。