立川(21日目)

 昨日の午後、ようやくレポートが完成した。
「しきしまの 大和心の をゝしさは ことある時ぞ あらわれにける」
 という明治大帝の大御歌から始まる4000字ほどの防災に関する文章である。ようよう書き終わってほっとしている。
 なにせ宿題やら提出物の多い研修で、ほとほと苦労されられたわい。それに、研修仲間との宴も連日続いていて、このところ、3時間くらいしか寝ていない。気持ちが高揚しているのか、リズムが狂ってきたのか。社会復帰に時間が掛かりそうだ。

 昨日の午前中は、シコシコとレポート書き。それから週明けに予定されている発表会の下準備で図書館にこもる。昼前に立川の町に出て、財布を補充するために多摩信に立ち寄る。その後、友だちと待ち合わせて、あらかじめ目をつけておいた蕎麦屋に行く。
「手打ち蕎麦 なかさと」立川駅南の小さな店である。そこで十割蕎麦のざるを注文した。一緒に福島の地酒「奈良萬」をもらう。
 ざる蕎麦が出てくる。黒い方形の盆に真ん中に目の細かい盆ざるに細い蕎麦が上品に乗っている。大人が満腹になるのには少し量が少ないが、これが酒の肴だと丁度いいんですな。「奈良萬」をちびりちびりやりながら、蕎麦をツルルッといく。たまりませんなぁ。

 食後、多摩川まで自転車で走る。どうしても、土方歳三たちの遊んだ場所を見たかったからである。司馬遼太郎に「マムシの多いところ」と言わせた風景は健在だった。多摩川から南に続く丘陵には緑の大きな塊があちこちに残っている。これが百数十年前なら、もっと草深い土地だったんだろう。そりゃぁマムシも出るわさ。遠くに富士も見える。そうか、こういった風景の中で土方たちは育ったのか。
 風が爽やかだった。そんな風に吹かれて土方になったつもりで河川敷を散策する。日差しが強くなってきたので、早めに寮にもどってレポートを書いたという次第。

 夕方、まともなものを食べようと仲間と連れ立って立川の町へ。中華料理屋に入って、野菜を中心に補給する。午後7時過ぎに寮にもどると、北海道から縞海老が届いているではあ〜りませんか。北海道の講釈好きな男が「食え食え」とうるさいので何尾かを食す。腹一杯だというのにこれがまた美味いんですな(泣)。午後11時までは付き合ったが、これ以上は堪らぬと、自室に戻ったのでありました。やれやれ。