年始の街の驚き

 元旦の午後、穏やかな日和だったので、ワシャの住む街を自転車でぐるぐると巡る。
 いやー、元旦の街は静かでいいですね。中心市街地の商店街は軒並み閉まっている。昼過ぎだというのに人っ子一人歩いていない。休む時は休む。正月なのだからそれでいいのだ。商店の皆さん、屠蘇でも飲んで、一年の疲れを癒してください。
 住宅街に入っても状況は変わらなかった。やっぱり人の気配がない。とある会社の寮の駐車場はいつも満車なのだが、昨日は1台も停まっていなかった。みんな、帰省しているんだね。今頃、故郷でやっぱりお屠蘇を飲んでいるのかな。
 市街地を抜けて郊外に出る。幹線道路を行き交う車も少ない。自転車で走っているのはワシャばかりなりけり。

 げげげ、なんなんだ、この盛況ぶりは……。郊外の幹線道路沿いでびっくらこきましたぞ。
 今日は元日である。年の始めのためしとて、終わりなき世のめでたさを、松竹たてて門ごとに、祝う今日こそ楽しけれの日ではないのか。
 パチンコ博打屋が元旦から開いている。そこにギャンブル中毒が雲霞のごとく押し寄せて、真昼間から金のやり取りをしている。世界広しといえども、正月から博打場が大手を振って御開帳している国があるのだろうか。カジノを反対する輩がいるけれども、町中にあふれる鉄火場を放置しておいていいのか。
 あああ、正月から気分の悪いものを見てしまった。験直しに本でも買って、家に帰ってお屠蘇でも飲むことにしよう。

 ということで元旦から本を読みながらお酒をいただいております。