EPR

 エネルギー・プロフィット・レシオのことである。Energy profit ratio(エネルギー収益比率)、得られるエネルギーを、そのエネルギーを取り出すために必要なエネルギーで割った数値のこと。
 解かりやすく言えば、EPRが1とは、あるエネルギー源から得られるエネルギーと、それを取り出すためのエネルギーが同じとなり、エネルギーから得られる利益がないということである。1を下回れば、取り出すためのエネルギーの方が上回り、取り出す意味がないということになる。
例えば尖閣諸島の海底に膨大な量のオイルサンドがあったとしよう。因みにオイルサンドというのは、砂岩の中にタールが染み込んだものと思ってもらえばいい。そのタール砂岩を海底から掘り出すために膨大なエネルギーがいる。そして、掘り出してもそのままの状態で使用できないから、砂岩から重質なタールを取り出すために水蒸気で洗浄しなければならない。大量の水蒸気を得るためには、高温の水をつくらなければならず、そのためには100度の水を沸かす別のエネルギーが必要だ。
 1リットルのオイルサンド由来の燃料を得るために、2リットルの石油を使ったらオイルサンドを掘削する意味はない。
 そういった意味で今まで人類が使ってきた石油はまことに優等生である。100のエネルギーを得るのに1のエネルギーしか必要としない。だから全世界に普及している。尖閣諸島周辺の海底は極端な例だが、実際に露天掘りをされているカナダのオイルサンドのEPRはどのくらいかというと約1.5しかない。今話題の太陽光発電はというと0.98で、1を下回っている。要するにパネル製作のためのエネルギー投入量が多すぎて意味がないということなんですな。バイオエタノールで1.3〜1.7、石油代替エネルギーとしてもっとも可能性のある原子力でさえ17しかない。石油の優等生ぶりがご理解いただけたかな。

 なんで朝からこんな小難しい話をしているかというと、実は、今日、某所で環境の講演会を行うんですね。そのための下原稿を兼ねて書いているわけです。書いたことで、だいたいの部分を諳んじることができるので、予行演習のようなもの思っていただければいいでしょう。