十割蕎麦に走れ その1

 先週、職場の歌舞伎仲間と食事会をした。その折に「蕎麦」の話になった。
 以前、友人に「信州根羽村『じねん亭』の十割蕎麦が美味い」という話したことがある。たまたま友人も根羽村に行く用事があって、そのことを思い出して『じねん亭』に立ち寄ったそうだ。
「十割蕎麦を塩で食べたら美味しかったですよ」
と笑顔で言ってくれた。
 そうでしょう、そうでしょう。あの十割蕎麦はちょっと癖になりますよね〜。

 翌日、ううむ、仕事中も十割蕎麦が頭にこびりついて離れない。陰陽師の友人に十割蕎麦の「呪」をかけられたか(笑)。
 週末になっても、まだ十割蕎麦のことを考えている。ええい、こうなったら食いに行っちまおうと決心して、土曜の朝、車を駆って翠嵐の中馬街道(※)をひたすら北上したのだった。
 豊田、足助、稲武、根羽の山々を縫うようにして走ること2時間、午前11時20分に、根羽川沿いにぽつんと佇む田舎蕎麦屋の前に立っていた。
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 いつもの蕎麦屋である。ところがいつもの蕎麦屋ではなかった。ワシャがいつもこの店に来るのは平日である。休みの日に来たのは初めてだ。いつもはガラガラなんですよ。ところが今日は駐車場に乗用車やオートバイがびっしりと並んでいるではあ〜りませんか。店内も満席で、まだ昼前だというのに大盛況と言っていい。南信州の山間の小さな蕎麦屋なのに、蕎麦通はうまい店を知っているんでゲスなぁ。
 もちろん、十割蕎麦の大盛りと地元の自然薯でつくったとろろ汁を頼みましたぞ。塩で食い、つけ汁で食い、とろろ汁で食う。美味い!2日越しの欲求が満たされましたぞ。
 蕎麦を掻っ込みながら、隣の席にいた若い夫婦に声をかけると、やはり蕎麦好きでわざわざ岡崎から来たというではないか。その旦那から美味しい情報をゲットしましたぞ。
(下に続く)