トウキャウケンブツ

 今、ワシャは『東京見物』(講談社)という絵本を開いている。発行日は昭和12年4月1日である。その題に「トウキャウケンブツ」とルビがふってあるのじゃ。う〜む、時代を感じるのう。
 さすがに70年前の絵本がワシャん家に現存しているわけではない。昨日、新年の挨拶に立ち寄った駅前商店街にある本屋で復刻版を見つけたんですな。
 表紙はね、日本橋を見物に来たお母さんと息子と娘がバストショットで描いてある。お母さんが鼻筋の通った美人なのに、娘はワカメちゃんカットで鼻の穴大きい吉本の花子似だ。中身は「皇居」「帝国議事堂」「東京驛」などなどの絵が載っています。キャプションもいい。
「オソレオホクモ 天皇陛下ノオイデアソバサレル宮城ノ二重橋デアリマス。アマリノオゴソカサニ シゼントアタマガサガリマス。」
 この『東京見物』はもう一冊あって、それはイラストレーターの和田誠描くところの現代の『東京見物』で、2冊はセットになっている。まったく同じ場所、類似した場所が70年の時を経て絵本で見ることができる。比較して見ると楽しいよ。新宿などはけばけばしくなっただけで、人込みや車の多さなど、昔とまったく変わらない。面白い本なので本屋で見かけたら手に取ってくだされ。
(下にもあります)