屋久島の話

 ここ2年くらいは環境関連の本ばかり読んでいる。だから棚6段くらいは環境本で埋まっている。その中には、アル・ゴアの『不都合な真実』に代表されるオカルト本も多い。
江原達怡『死に向かう地球』(現代書林)
『このままでは地球はあと10年で終わる!』(洋泉社
柴田敏隆『追いつめられた地球』(カワイ出版)
ティム・フラナリー『地球を殺そうとしている私たち』(ヴィレッジブックス)
福岡克也『地球人は水から滅びる』(青春出版社
 ね、おどろおどろしいタイトルが付いているでしょ。まだまだあるけど限がないのでこのくらいにしておく。

 反対に冷静なタイトルの環境本もある。
花里孝幸『自然はそんなにヤワじゃない』(新潮選書)
丸山茂徳『「地球温暖化」論に騙されるな!』(講談社
石井吉徳『石油ピークが来た』(B&Tブックス)
小野寺浩『屋久島の作法』(朝日新聞出版)
 などなど。

 概して「死」「終わる」「殺す」「滅びる」などという言葉がタイトルに入っているものは、内容も「死んでいる」「終わっている」「滅びている」ことが多い。
 世の中には、どうなるか判らないことを妄信し、声高に叫ぶ輩がいる。環境オカルト本の著者はほとんどこの範疇に入ってくる。
 そんな本のことはどうでもいい。面白かったのは冷静環境本の『屋久島の作法』である。著者の小野寺浩さんは、専門職員(レンジャー)から環境庁に入庁し局長にまで昇った人で、その後、退官して、屋久島が好きなために、わざわざ鹿児島大学に奉職をしてそこで教鞭をとっているという変り種だ。
 それで『屋久島の作法』の内容だが、環境についての押しつけがましいところはほとんどない。どちらかというと日本各地の自然を淡々と記述することで、自然の多様性を描いている紀行文といったたたずまいだ。
 冒頭の文章が、司馬遼太郎の『街道をゆく』からの引用で始まっている。このあたりも著者が「紀行」を意識した点ではないだろうか。

 おっと、もう時間になってしもうた。今日、その五十嵐さんの講演会が某所である。多分、屋久島の話がたっぷりと聴けるだろう。いろいろ準備もあるので、急いで出掛けなくてはいけない。講演の内容については、また明日にでも。