騒ぎ過ぎのマスコミ

 9月に入ってどのテレビ局も「伊勢湾台風」を取り扱った。50周年とは言え、くどいほど白黒のニュース映像を見せられた。そこに台風18号である。案の定、マスコミは大騒ぎを始めた。
伊勢湾台風以来となる3メートル超の高潮」
「50年前に大きな被害をもたらした伊勢湾台風と同じコース」
「小型ながら強い勢力」
「東海地方直撃のコース」
 確かに愛知県にとってコースはストライクだった。知多半島に上陸し、三河を通って南信州へ抜けた。でもね、直撃だったがさしたる被害は出なかった。夜半に風は上がったが雨はほとんど降らなかった。
 朝、家の周囲を確認したが、カーポートのプラスチック製の樋が外れていたので、それを拾ってきて直した。我が家の被害はそれだけだった。
 そもそも、今回の18号台風は上陸時に950ヘクトパスカルになると予想されていた。伊勢湾台風は920代で上陸してきたのだ。強さが全く違う。大きさも違うし、18号は上陸前に台風そのものが壊れていた。この台風のどこを捉えて「伊勢湾台風」に匹敵するような台風という位置付けを与えたのだろうか。
 結論から言えば、「50周年に当たっていた」という一点が、前頭程度の台風を横綱級に祭り上げてしまった要因だ。

 朝日新聞の記事を引く。
自治体の動きを引っ張ったのが、名古屋地方気象台の踏み込んだ説明だ。自治体や報道機関などに向けた説明会で、「東海地方に最悪のコース」「3メートルを超す高潮の恐れ」など、緊張感のある表現で注意喚起した。》
 おいおい、気象台の発表に、「踏みこんだ説明」も「緊張感のある表現」もいらないぞ。冷静で正確な情報が必要なだけだ。最悪の可能性を強い表現で訴えるのもいいが、最悪ではない可能性も十分にあるし、素人のワシャが天気図を見ていても、「伊勢湾台風」でないことぐらいは読み取れる。そのことを気象台は言うべきだし、マスコミはそういった可能性にも言及すべきだった。どのチャンネルのどのお天気おねえさんも、緊張した面持ちで「とんでもない台風が東海地方を襲いまっせ」と口走るばかりだ。おかげで風がそよとも吹かない6日から災害対策本部を立ち上げるマヌケな自治体まであらわれたではあ〜りませんか。
 なんでもかんでもおどし上げればいい、というのが昨今の報道の姿勢だ。確かに早期に警戒をすることは大切だと思う。しかし、やり過ぎるとかえって弛緩を生み、思わぬ陥穽にはまることにもなりかねない。新インフルエンザの初期がそうだったじゃないか。もう忘れてしまったのかにゃ。
 マスコミはもっと冷静になれよ。