普通は普通でいいのだ その2

(上から続く)
 小沢一郎から公示3日前に名簿整備を依頼された谷岡は元来のいい加減さから、適当に知り合いの「仕事を辞める必要のない」、「住民票をすぐに出せる人」を選んだだけなのである。複数に声をかけたとあるが、普通、まっとうな生活を営んでいる人がそうそう応じられる内容ではないよう。「最後に残ったのが」というところが泣かせる。残り者には福があるというが、とってもそうは思えない。テキトー谷岡は「人に迎合しないところが政治家向き」と苦しい言い訳をしているが、「あんた、衆議院の東海比例区の候補者名簿に載りなさいよ」とテキトー谷岡に言われて、何日考えたかは知らないが(絶対に3日以上ではない)、あっさりと応諾する人が「迎合しない人」なんだろうか。
《自分は国会議員を目指そうという気持ちは全くなく、親しい民主党参議院議員に頼まれたため、断り切れずに立候補者名簿の最下位に名前を載せただけ。》
 と本人も言っている。このことからテキトー谷岡が磯谷さんを推薦するのに何も考えていなかったことがわかる。
 偶然、衆議院議員になってまった。これはなった本人にも悲劇だし、国民にも悲劇なのだ。政治に関してまったく興味のないずぶの素人を東海地方の代表として国会に送りこまなければならない。それもワシャらの税金を使ってである。これほど情けないこともあるまい。
 磯谷さんは、テレビの取材に対して「これから勉強させていただきます」と答えていたが、それでは遅いのだ。政治家になる前に少なくともある程度の基礎知識はその脳味噌の中に入っていなければお話にならない。
 例えば、マックス・ヴェーバーの『職業としての政治』を読んだことがあるのだろうか。W・リップマンの『世論』はどうか。丸山真男の『日本政治思想史研究』は読んでいるのか。あるいは司馬遼太郎の『この国のかたち』は読破したか。普通の人は読む必要がないけれど、政治家である。基本的な知識としてこの程度は読んでいなければ恥ずかしい。
 残念ながら、「マイフェアレディ」のイライザがレディになったように、素養のないものが短期間に政治家になれるかというとそんな簡単なものではない。まさに杉村太蔵さんが4年の修行を経ても政治家として箸にも棒にもかからなかったことが見事に証明しているではないか。そんな彼でも政治家を目指していた。スタートラインでは磯谷さんより前にいたのだ。
(下に続く)