北を笑えるか その2

(上から続く)
 実力の世界に世襲はない。ということは世襲がまかり通る世界というのは実力の必要ない世界ということになる。ただし歌舞伎の世界などは、世襲を許される子どもに対しては徹底的な英才教育がなされる。この猛訓練の上に世襲が成立しているのである。落語の世界だってそうだ。世襲しても努力の足りない噺家の人気はたちまち凋落する。だぶん二代目の林家三平がいい例になるだろう。
 ひるがえって政治家はどうか。政治家もある意味で小さい頃から英才教育を施されるケースがある。東京大学卒業の鳩山兄弟や酔っ払いの中川昭一は小さい頃から高学歴をつけるべく努力したのだろう。しかし、残念なことに学歴が政治家の芸ではなかった。高度な知識を持っているということの証明としての学歴は必要なのかもしれないが、必ずしも政治家の要件として絶対に必要なものでもない。大切なことは、その人が庶民感覚を持っているか、国民市民のために汗をかく覚悟があるか、そして国を支えていくために命を投げ出すことができるか、そういったことなのである。
 残念ながら、相州横須賀藩の四代目の若様におかせられましては、街頭演説はやらない、政策も訴えない、取材は全てお断り、父親とともに地元の顔役関係者のところをちょこちょこっと回って晴れて衆議院議員にご当選とあいなる。こんなぬるま湯世襲議員が175人もいる衆議院議員選挙って絶対におかしいよね。国が滅びるのもそう遠くはないと思う。