(1)この国のかたり その1

 司馬遼太郎の名著に『この国のかたち』がある。その巻6に32ページほどの口述筆記が載っている。概要はこうだ。
「日本は元々汚職というものの存在を許さない不思議な風土があった。最近になって、公共土木事業が妖術めいたやりかたで社会を金権体質にした。秘密談合などという不埒なものは日本の伝統にはなく、近代以前の大陸アジアの体質に戻りつつある」
 そして、こう言いきっている。
「現在の日本の汚職というのは構造化しています。役人も代議士や市会議員、県会議員もアジア化している」

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090502-00000408-yom-soci
 さぁ、日本人の御蔭参りが後半に入った。高速道路のあちこちで大渋滞が起きている。酷いところでは50kmも数珠つなぎとなった。パーキングエリアのトイレだけでは足りないものだから、ついに簡易トイレを配り出した。ご苦労なこって。
 この騒動を引き起こしている「高速道路、土日祝日1000円」施策の底流には、司馬さんの言う「構造的汚職」が流れている。我々は、目先にぶら下げられた甘味に騙されることなく、なぜ、ETCを装着しなければならないのか?1000円に割り引いた分の財源は、どこから補填しているのか?誰が儲かっているのか?そして誰が損をしているのか?ということを考えた上で行動に移らなければいけないと思う。
 4つの設問で、はっきり断言できるのは、最後の設問だけだ。損は国民が被ることになる。
(下に続く)