綺麗な腰元を探せ

 なぜか御園座の筋書きには「出演俳優」の顔写真が一部しか掲載されていない。歌舞伎座の筋書きなら全出演者の顔が載っているのですぐに人物の特定ができるのだが、どうも御園座は不親切だ。だから「並び腰元」の特定に時間が掛かってしまった。

 場面は「小野春道館の場」である。館の姫に付き従い御付腰元四人が舞台に並んでいる。役者は市川喜昇(きしょう)、市川笑子(えみこ)、市川喜太郎、中村京由(きょうゆき)である。この四人の中の誰かなんだが……
 市川喜昇か。この人、市川右近の弟子で28歳の女形である。写真を見ると、
http://www.actors.or.jp/meikan/members/actors/a1060_kisyo.html
研ナオコ系のヒラメ顔だ。化粧を施してもその特徴は消えまい。この人ではないな。
 では、市川笑子か。
http://www.actors.or.jp/meikan/members/actors/a0938_emiko.html
 面長で鼻梁がしっかりしている。顔立ちはいいが、どこか男くささの残る顔だ。年齢が40歳である。綺麗な腰元はもっと若かった。
 ならば喜太郎か。
http://www.actors.or.jp/meikan/members/actors/a1101_kitaro.html
 ううむ、肌の張りが綺麗な腰元の印象とずいぶん差がある。違うな。
最期に残ったのが中村芝雀門下、京由24歳である。
http://www.actors.or.jp/meikan/members/actors/a1167_kyoyuki.html
 この写真ではぼけたような顔に見えるが、小顔でしかも輪郭の整ったうりざねである。小柄な鼻も女形には利点だ。化粧ばえのする顔と見た。ワシャの目を引いた綺麗な腰元はこの人だと思う。平成19年4月が初舞台と言うから見たことがないわけだ。
 まだまだ若い役者なので、今後、注目して観ることにしようっと。