時代は変革期に……

 ドン・タブスコット、アンソニー・D・ウィリアムズ『ウィキノミクス』(日経BP社)を読了した。いやはや、てこずったわい。なにしろワシャの苦手なIT用語が速射砲のように連発されている。
「クローズドなiPodのアーキテクチャー」
「プロサンプションのジレンマ」
「ピアツーピア」
「プロシューマー・コミュニティ」
「ウェブにおけるマッシュアップ
「アイデアゴラ」
「ウィキワークプレイス」
 などなど、途中で気が遠くなってきましたぞ。あなたはこれみんな解りますか?
 ワシャ的には『徳川實紀』(吉川弘文館)を読んでいるほうがよっぽど楽なのじゃ。
 それでもね、読み終わってみるとなかなかどうして、日垣さんが推薦するだけのことはありましたぞ。アホのワシャでも、今、ネットを基盤にして大きな変革のうねりが始まろうとしていることが解り、それが「個人の自発的参画による巨大なコラボレーションの台頭」であるということも理解できた。この大波をかぶることは、ある種のパラダイムシフト(概念の変換)になることは間違いない。
 この地動説を受けて、これにどう共鳴していくかが次世代に生き残れるかどうかの転換点になるだろう。

 黒船の来航で時代の変化を敏感に感じ取った坂本竜馬は、その後、走りに走って、時代を変革した。坂本に追従した若者も次の時代での果実を手に入れた。大変革の時代に高知の山奥で田を穿つことしか知らなかった百姓は、次の世代もやせた土地と格闘するしかなかったのである。まぁ、それはそれで毅然とした生き方ではあるけれどね。

 しかし、いろいろと考えさせられる本だ。
 この本には、風雲を目指す若きITリーダーたちが数多踊らされることになるだろうと思う。そして累々たる志士の屍の向こうに新しい時代があるような気がする。