ネポティズム(1)

 かなり下火になってきたのでそろそろ書きたい。例の「東武鉄道運転士懲戒解雇」の件である。
 11月24日の天声人語が振るっている。
《安全運行がすべてに優先するのは言うまでもないし、家族を先頭車両に乗せるべきではなかった。》え?もちろん先頭車両に乗ってもいいよね、運転室に入れてはいけなかったということでしょ。
《多くの人命を預かる仕事だと再認識させたうえ、再び常務の機会を与えるかどうか検討するといった選択肢はなかったのだろうか。》ああ、まどろっこしい言いまわしじゃ!「再認識させて」「常務の機会をあたえる」「かどうか」「検討する」「といった」「選択肢はなかった」「のだろうか」くどい!
 そんなアホなコラムはどうでもいい。

 この事件を聞いて思い出したことがある。かれこれ10年ほど前のことだ。あるイベントの企画に携わったことがある。その催事は子どもに大人気のイベントで、1イベントあたり60人の子どもが参加することができる。このため参加希望者が多く、結局、ハガキで応募してもらうことになった。倍率が10倍程度あっただろうか、なにしろ凄い人気だった。ワシャ家にもちょうどその年頃の子どもがいた。うちの子もそのイベントが大好きで参加したいと言っていた。
「はがき出すならいいでしょ」と子どもは言ったが、今回は我慢をさせることにした。李下に冠を正さず、である。仮にうちの子が厳正なる抽選でイベントに参加することになったとしても、知り合いはどう思うだろうか。「ワシャが事務局にいるから自分の子をむりやりねじ込んで参加させた」と言われるかもしれない。だから諦めさせた。
(「ネポティズム(2)」に続く)