地震の日

 11月4日、東海沖を震源としたマグニチュード8.4の大地震が発生し、伊豆、駿河遠江三河尾張、甲斐、信濃、美濃、伊勢、志摩、近江、越前、加賀の広範囲で家屋の倒壊があり、一説には延べ10,000人もの死者が出たと言われている。これが世にいう「安政東海地震」であった。
 この32時間後、四国南方海上のプレートが動いた。「南海地震」である。これによって犠牲となった人々は数千人を数えた。
 我々の住んでいる日本で最も人口の集中した地域である太平洋ベルト地帯にぴったりと寄り添うようにして駿河トラフ、南海トラフがある。ここに「地震三兄弟」と言われる「東海地震」「東南海地震」「南海地震」が潜んでいるのだ。次男、三男は60年前に大暴れをした。いわゆる昭和の東南海、南海地震である。しかし長男の東海地震くんだけは起きなかった。実は安政地震以来、ずっと眠ったままなのである。この兄弟、眠れば眠るほどパワーが強くなるという性質をもっているから、151年も動いていない東海地震のエネルギーはフル充電といってもいいだろう。
 過去の地震の分析から、三兄弟の地震の周期が概ね90年から150年程度ということまで分っている。安政地震1854年の発生だから151年が経過しているわけだ。おっと東海地震の周期は過ぎているではないか。つまり現時点で東海地震はいつ起きてもおかしくない地震なのね。
 もう一つ都合の悪いことに、長男は自分が起きる時に、次男、三男をついでに起こしてしまう性質がある。三つのエネルギーが一斉に太平洋ベルト地帯に押し寄せてくることを考えてごらんなさいよ。そりゃぁもう大騒ぎさ。
 一昨日、旧山古志村の惨状を目の当たりにしたせいだろうが、やや地震に対してナーバスになっているのかもしれない。でもね、やっぱり「地獄の地震三兄弟」は甘く見ないほうがいいと思う。
「不意の地震に不断の用意」である。「備えよ、さらば救われん」なのだ。
平家物語巻十二』にこうある。
《悲しかりけるは大地震なり。鳥にあらざれば空をも翔(かけ)りがたく、竜にあらざれば雲にも又上りがたし。》
 我々は鳥でも竜でもないので災害の対する準備をする以外には助かる道はなさそうだ。剣呑剣呑・・・