母の愛と朝日のバカ

 運の強い子だ。
 母親は命を賭けて幼い優太くんを守ったに違いない。母親は「即死」とされているが、そんなことはどうでもいい。母は魂となって優太くんを救うために、土石の中にできた小さな隙間に誘ったのだ。そして泣きじゃくる優太くんに「ここで我慢するのよ」と諭したに違いない。優太くんは92時間、母親と一緒にいたのである。
 それにつけても「朝日新聞」はバカだ。今日の1面「2歳児、4日ぶり救出 母死亡、長女の捜索続く」という記事でこんなフレーズがあった。
「真優ちゃんはピンク色がお気に入りで、月末に予定した身内の集まりで、新しいピンクのワンピースに袖を通すことになっていた。『おてんば』で『優しい子』だった。」
 おい、朝日新聞、「『優しい子』だった」とはどういうことなんだ。真優ちゃんの安否は不明なんだぞ。今も生きていると、レスキュー隊も必死に捜索を行っているんだ。それを「だった」と過去形にする記者の神経が分からない。地震の続く不安定な瓦礫の上で、まさに命がけで救出活動にあたっている人々がいる。真優ちゃんが生きていると信じなければ命なんか賭けられるものじゃない。そういった尊い行為を安全な場所から眺めているだけの編集者よ、きっちりと紙面のチェックをしろ。