大滝秀治さん、お誕生日おめでとう

 今日、俳優の大滝さんが79回目のお誕生日だ。岸部一徳と出演しているCMでは「つまらん!」「ぶっきらぼうなもんだ!」と相変わらずいい味を出しておられる。140本をこす映画に名バイプレーヤーとして出演し、作品の厚味出しに貢献しておられる。最近では「どら平太」の家老役が軽妙で面白かった。当たり役といえば「特捜最前線」の「船村一平警部補」だろう。暴走しがちな特命課の若手を押える「おやっさん」の役どころは、刑事ものでは定番でありきたりな役に落ち込むところを、大滝さんはうまく演じて、「特捜」のなかでも一番見所の役になっていた。
 そしてなんといっても忘れられないのが「北の国から」の「北村清吉」である。主人公である黒板家の3人を陰ながら支える重要な役どころであり、北海道の入植者の喜びや悲しみを見事に演じきっていた。
 今後もぜひぜひ長生きをしてもらって、いぶし銀の演技をわたしたちに見せてくださいね。
北の国から」の大滝さんの名場面をひとつ。
 北海道の厳しさを痛感した純(吉岡秀隆)が東京の母親のものとに帰ろうとする布部駅の前にある喫茶店
 清吉(大滝)と純、雪子(竹下景子)がテーブルを挟んで向かい合っている。
 清吉が離農していった仲間のことを話している。
清吉「11月だったな。親しかった仲間が、4軒いっしょに離農していってね」
雪子「・・・」
清吉「そんときわし、やっぱり送りにきたもンだ・・・雪がもうチラホラ降りはじめてな・・・北島三郎が・・・流行ってた」
雪子「・・・」
清吉「出て行くもんの家族が四組、送るほうはわしと、女房の二人。だれも一言もしゃべらんかった」
雪子「・・・」
清吉「だけどな、そんときわしが心ン中で、正直何を考えてたかいおうか」
二人「・・・」
清吉「お前ら いいか 敗けて逃げるんだぞ」
  雪子。
  清吉。
清吉「二十何年いっしょに働き、お前らの苦しさも、かなしみもくやしさもいっさい知っているつもりだ。だから他人にはとやかくいわせん。他人にえらそうな批判はさせん。しかしわしにはいう権利がある」
  純。
  雪子。
清吉「お前ら敗けて逃げて行くんじゃ」
  純。
清吉「わしらを裏切って逃げ出して行くンじゃ」
  純。
清吉「そのことだけはようおぼえとけ」

 重いけど、いいシーンでした。放映から四半世紀が過ぎようとしていますが、未だに脳裏にあります。(実はビデオを最近みたせいかもしれませんがね)