人生を仕事の合間に考えた

 今日は忙しい休日だった。朝も早よから凸凹商事に出勤し、週末のイベントの進行台本の作成。午前10時には、新幹線駅南口の某所で映画鑑賞会。会場まで、凸凹商事から流星号でかっ飛ばす。晴天で良かった。

 上映映画は黒土三男監督の『渋滞』である。1991年の作品だから30年前の作品になるのかぁ。ワシャは萩原健一のファンであるので、もちろんこの作品は何度か見ている。ハードボイルドなイメージのショーケンだが、この作品では電化製品店で働くフツーの父親の林蔵を演じている。

 その店員一家が正月休みに千葉県から岡山県真鍋島まで車で帰省するというだけの話。タイトルからも、渋滞に巻き込まれて、いろいろなトラブルが家族を苛み、でもなんとか故郷にたどり着くんだろうなぁ・・・と想像される。まさにそのとおりで、典型的な「ロードムービー」である。

「渋滞」「トイレ」「事故」「道の間違い」「交通検問」「食事」「雪」「宿泊場所」「ガス欠」「子供の病気」などなど、次から次へと見まわれる。30日早朝に千葉県浦安を出発するんだけど、沼津あたりで夜を迎えることになる。港で車中泊となるが、朝になるとしっかりと駐車料金を請求されてしまう。嫌なこと続きで、家族の不平不満がだんだんと蓄積していくのが細かく描かれる。

 林蔵はその怒りを妻の春恵(黒木瞳)にぶつけ始めるのだが、気分屋で自己中心的で、それがいかにも昭和の父親らしく、「あるある」と思わず呟いてしまう。

 年が改まり2日、ドラマもクライマックスに近づいている。まだ真鍋島には、帰省を諦めて、東京に帰ることを決めるのだが、岡山の浜の食堂で、テレビに映る高速道路大渋滞のニュースで変身する。カタルシスであった。

 家族は、真鍋島に向かい、海上では大漁旗をはためかした漁船が何十艘も林蔵たちを歓迎するのだった。

 翌々日には林蔵の仕事が始まるので、今日中には帰路につかなければならない。故郷の両親に会えるのは連絡船が停泊するわずかな時間だけ。両親、島人たちとほんのわずかな交流をして、それだけで船は家族を乗せて岡山に戻っていくのだった。

 作品である。人生を凝縮したような、苦労ばかりが押し寄せてくるけれど、それを気の持ち方、人との支え合いで、わずかな幸福に換えていくという人間ドラマがある。出演者も豪華で、わずかな出演だが、かたせ梨乃や清水美砂の演技も光っていた。名作だと思う。

 映画鑑賞の後も、仕事にもどって夕方まで頑張ったんですぞ。それからお彼岸なんで墓参り。だから休日なんだけど大相撲を観損ねたのだった(泣)。でも、いいこともあったもんね(笑)。

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