教祖様の憂鬱

《公明・山口代表「根拠なければ」 ウイグル対中制裁に慎重姿勢》

https://www.sankei.com/politics/news/210330/plt2103300020-n1.html

 公明党は、外国人(主に支那・韓国)が日本の重要施設近隣の土地を買うことを禁止する法案に反対し、ウイグル問題に極めて消極的な態度を続けている。このことについて、そういう立ち位置の政党なのだろうと思うだけで、それほど憤りも感じない。

 とはいえ、「公明党」「創価学会」関連の本をちょこっと繰ってみた。

 昔ね、東京の読書会で「池田大作」がテーマのひとつとして選択されたことがあって、「池田大作」ということであれば「公明党」「創価学会」となるわけだけれど、その関係で何冊かの本を求めた。

 求めたといっても、この系統の本はブックオフに行くと、最低価格帯で山ほど並んでいるので入手には苦労しなかった。今、書棚から10冊ほど引っ張り出してきたが、これ全部を買うのに1500円はかかっていないだろう。まぁ市場ではその程度の価値ということなのである。

 この「池田大作」関連本には2系統あって、聖教新聞社第三文明社などが出している本、あるいはシンパが出版する「絶賛系」と、反対のアンチが上梓する「批判系」に別れる。

創価学会四十五年史 革命の大河』、『旭日の創価学会70年』は「絶賛」系で、これは、「幸福の科学」とか「オウム真理教」などのカルト宗教系の出版物と臭いが似ているように感じた。なにしろこれらの団体は排他的な傾向が極めて強く、教祖様に異を唱えようものなら徹底的に排除されてしまう。オウムなどは命すら奪われる。

 ワシャの尊敬する作家の日垣隆氏や、お亡くなりになられたコラムニストの勝谷誠彦氏は、「公明党」「創価学会」に対して厳しい論評をしておられたが、ワシャにはそんな知識も根性もないので、書籍の中から気になったところを抜粋しておく。

 山田直樹創価学会とは何か』(新潮社)から。

 田中角栄の秘書であった早坂茂三氏に、師匠の言を引いてこう言わせている。「池田大作はしなやかな鋼だ。煮ても焼いても食えない。公明党は法華さんの太鼓を叩くヒトラー・ユーゲントだ」

 池田教祖の勲章や博士号のコレクターぶりはつとに有名だが、これについては創価学会の元教学部長の原島嵩氏がこう言い切っている。

「根底にあるのは池田のコンプレックスでしょう」

 ジャーナリストの乙骨正生氏も同様に「様々な勲章をもらって悦にいっているのは、いまだにそのコンプレックスを克服できない証拠」と言っている。

 宗教学者山崎龍明氏も、オウムの麻原と同様だとしながら「学歴もない彼が、社会的に認知されている人をコントロールできる快感を覚えたのではないでしょうか。彼らの共通点はエリートを支配することに喜びを感じることです」と指摘する。

 もちろん「絶賛系」の著者は、これらの意見に対して真っ向から否定し、バカにしながら、教祖様の擁護に終始している。それは皆さんのご想像のとおりなのであえて引かない。

 もうひとつ「批判系」で秀逸な一冊を紹介する。段勲創価学会インタナショナルの実像 池田会長が顕彰を求める理由』(リム出版社)である。

 池田教祖はなにしろ外国の要人に会うのが趣味で、それらの対談本のようなものも数多出版している。例えばワシャの手元には前チリ共和国大統領との対談本『太平洋の旭日』(河出書房新社)があるけれど、まったく得るところのない、そもそもチリという国と日本の距離、関係性を考えれば民間人が320頁を超すような話柄が存在することがおかしい・・・と思える1冊だった。

 段氏はそのあたりをこう解説してくれる。

《池田・民間外交の特徴は、とにかく相手を褒めて褒めて、褒めちぎること。歯が浮くほどの美辞麗句を用い、相手を天まで昇らせる。あるいは逆にへりくだる。太鼓持ち対談というか、せっかく、諸国の多忙な要人と対談しているのに、中身が空しく、読んでいて鳥肌が立つ。》

 でもね、『太平洋の旭日』には興味深いところもあって、前チリ大統領がこう言っているんですよ。

「あなたは中国大陸を何度も訪問され、多くのご友人をもっていらっしゃいます。周恩来氏は、あなたのもっとも親しい友人のお一人であったと聞いております」

 前大統領も「褒め返し」をしているんですな。これに対して、悦にいった教祖様は、

「日本と中国の友好がもっとも大事である」

「もっと深い次元で、互いの“精神の扉”を開き、“信義の橋”を駈けるしかないと考え、行動してきたつもり」

「中国は世界でもっとも古い文化、おそらく人間性という観点から見てもっとも豊饒な文化を持っている」

 とか言っちゃっている。さらに極め付きは、

「この“人間主義的なモラルの力”こそ、今後の世界秩序を考える上で、(中国が)一つの大きな機軸になってゆくものであると期待しています」

 とかのたまっているんですね(笑)。こりゃダメだ。

 ということで、現在のウイグルの人権問題に腰の引けている公明党の対応は・・・教祖様の実践してきたことを翻してしまうから、消極的にならざるをえないのだな・・・ということが見えてくる。

 しかし、それではダメだ。中国共産党の下で多くの善良な人々が苦しんでいる。それこそ何億という人々がである。それを、日蓮上人の教えを実践しようとしている宗教団体が、宗教政党が踏みにじってはいけないでしょう。いくら教祖様の親友(笑)のつくった中国共産党とはいえ、人々の幸福に勝る友情なんてないんですから。