絡合

 12月25日の「虎ノ門ニュース」のコーナー「虎ノ門サイエンス」で科学者の武田邦彦先生から提示された言葉が「絡合」であった。

 その言葉をワシャは初めて聴いた。連絡の「絡」と合体の「合」、気になったのでさっそく「広辞苑」で引いたのだが、これが載っていない。「日本国語大辞典」も当たったが、そこにもなかった。

 ネットで調べると、佐俣満夫『天球のラビリンス Ⅳ』(丸善プラネット)という書籍の存在を発見した。この本の副題が「絡合多様体論」であるので、引っ掛かったようだ。お値段は5500円。要旨には「シリーズ第4巻。前半では球体類の波動ポテンシャルによる自己回帰原理を議論し、また従来数学での曲線方程式に代えて1元関数を導入し、球体類の1元関数を紹介する。さらに傾斜楕円などの多積構造を論じる。後半ではビーズリングなどの絡み合った多くの多様体について記述し、さらに球体類の微分構造から得られる微分環チューブを紹介」とある。漢字、ひらがな、カタカナで書かれてはいますが、ワシャには外国語のようで、まったく理解できまヘン。これはワシャの知識では手の出せないレベルの本ですわな(泣)。

「球体類」ってなんやねん。惑星とかのことかいな・・・まさかスーパーボールのことではないでしょうね。「波動ポテンシャル」ってなんだんねん。「自己回帰原理」ってなんでっか?

 この本を購入しても、ワシャの頭では5500円をドブに捨てるようなものなので、購入は断念し、しかし興味本位で読んでみたいということもあって、図書館で探してみるかなぁ。

 

 話を元に戻す。武田先生の言われた「絡合」である。先生の言われることを、多少、アレンジしつつ抜粋する。

〇人体は60兆の細胞からできている。それぞれが独立している。60兆の細胞の連携は神経ではなく、なぜ連携しているのかがよく解らない。

イワシの集合体、大きな敵が襲ってくると、それよりも大きな固まりをつくって対抗する。何千匹というイワシが、どう連絡をつけて、情報交換して統一した行動を取っているのかが解らない。

〇この世の中は「物質(体)」と「情報(頭)」、この2つで全て解釈しようとしているが、そうじゃない。

〇「絡合は二千年前に発見されている。お釈迦様の世界、法華経にそのことが記されある。「すべての物は個別には自性がない」、「絡合(当時はそういう言葉は使っていない)によって存在する」、「物事をみたら人間は個別の存在では生きていけない。人間同士で強い結びつきがあって、はじめてその人が人間になる」

〇科学がヨーロッパで進んだので、相互作用(絡合)の概念が発達しなかった。

〇近代科学は間違っていた。自分の眼に見えるものしか信用しない。また個人が大切だということを、教育基本法でも全面に打ち出している。しかし人間は個人だけでは生きられない。

〇絡合を示す事実はいくらでもあり、特に人生の幸福と直接的に結びついている。

〇亡くなった人間と我々はつながっている。15万年前からネアンデルタールっ人が、亡くなった人と生きている人はつながっていると気がついて、葬送の儀が始まった。

〇絡合は、家族、民族、国家を大切にする。

先の大戦で日本の特攻はいろいろな問題があるが、隊員の死の瞬間のことに特化すれば、特攻隊員は、家族や日本を救うために死ぬので、死に際して特攻隊員は苦しくない。絡合の中で生きていること、全体(過去・現在・未来への壮大なつながり)のために死ぬということが理解できれば楽に死ねる。

〇個として生き、個として死のうとするとこれは苦しい。

〇先祖代々から続いてきて自分が存在し、その遺伝子は民族の多くの中に共有されて、子々孫々につながっていく大きな「絡合」の中の、一経過を、この瞬間に担っているのだと思えばいい。

〇なぜ人間は「死」が苦しいのか?なぜ人間は「喧嘩」をするのか?なぜ人間は「戦争」をするのか?それは人間というものが、自分の頭の中に入っているものだけで現実を判断しようとするからである。人間の欠陥は自分の頭の中にあるものが正しいと思う。自分の頭の中にあるものから判断すると、相手の言っていることが違うということで喧嘩が起きる。

〇自分の頭が100%の事実を摑んでいるかというとそうではない。例えば「宇宙」について人間はどの程度のことを知っているかというと1%のことも知らない。「宇宙」に限らず、科学というものは「未知」がいっぱいある。これらを乗り越えていくために「絡合」が理論化されてくることが必要だ。

〇未知の解明は「物質」「情報」だけではだめで、「絡合」が明らかにされてくることが今後の科学においては重要である。

〇今は「絡合」は物理学だが、これが「歴史学」「哲学」「政治学」「心理学」「宗教学」にも波及していくといい。

 

 こんなことを武田先生は言われた。それでも、アホなワルシャワにはピンとこない。武田先生は「絡合」について本を書かれることを、ジャーナリストの須田慎一郎さんに明言されているので、それを待ちたい。今後、「絡合」、けっこう、注目を浴びていくのではないか・・・と思っている。