獺祭忌である。子規忌と言ったほうが分かりやすいか。
子規は強烈な足跡を残して３６歳の若さで彼岸へと旅立った。晩年は病床から俳句、文学について思索し続けた。
タイトルの句は、コラムニストの天野祐吉さんが編んだ『笑う子規』（ちくま文庫）から引いた。子規といえば「柿くえば鐘がなるなり法隆寺」が有名だが、同じ奈良路の柿の一句。
冒頭の句に天野さんがコメントを付けている。
《渋柿がなければ、干し柿も柿渋もつくれない。この世に無駄な物はひとつもないのだ。南無阿弥陀仏、南無阿弥陀仏……》
そう聞くと、なんだかありがたい句のような気がしてきた。秋が深まり、なんだか奈良に行きたくなってきましたぞ。
