きみは『猿の惑星』の真実を知っているか

 しきりにテレビが「猿の惑星 創世記」のCMを流す。
http://www.foxmovies.jp/saruwaku/
 そのCMになでしこジャパン沢穂希が起用されいてる。
http://www.chunichi.co.jp/chuspo/article/entertainment/news/CK2011092502000074.html
 上記の記事はこう書く。
《なぜ沢選手が!? といえば、猿の「シーザー」が成長する姿を、“なでしこジャパン”の主将として強くした沢選手に重ね合わせ、白羽の矢を立てたのだとか。》
 違う!
 本音は「沢が猿顔」であるということに他ならない。ここに、沢を起用した連中の真意がある。選考者の底意地の悪さというか悪意を感じざるをえない。笑顔で真面目にインタビューに答える沢が可哀そうだ。

 そもそも『猿の惑星』はピエール・ブールというフランス人小説家によって書かれたものである。これは有名な話なのだが、ブールが戦前に仏領インドシナで有色人種の奴隷を使役する立場にあった。それが同じ有色人種である日本軍の捕虜になったことに大きな衝撃を受け、それがインセンティブとなってこの作品ができあがったものである。アングロサクソンを追い詰める猿たちは日本人そのものなのだ。
 そういった観点から見れば、猿の着用している衣服も着物のように見えなくもない。というか日本人を意識して作っていることは間違いない。

 そんな映画を日本に持ってきて、東京・ディファ有明で開催されたジャパンプレミアに「猿顔」の沢穂希をゲスト出演させる。欧米から見れば猿軍団の「なでしこジャパン」のリーダーに、『猿の惑星』の指導者の評を取るという図式である。
 そう思い当れば、ジャパンプレミアの主催者がかなり悪質だということがわかる。

 どこかの会議室でニソニソ笑いながら、
沢穂希で行きましょう」
「猿に猿か……面白いな、そのベースには黄色い猿日本人の意味も含む」
「うまいでしょ」
「うまい」
「イッシッシッシ」
「デヒャヒャヒャヒャ」

 この映画についてはコラムニストの勝谷誠彦さんもこんなことを言っている。
《その『猿の惑星』をありがたがる神経がよくわからない。「知らない」のである。その「知らない」人々が作ったものを受け止める人々がほとんどだと、やはり国は滅びていくのだろう。》
 勝谷さんの言うとおり、知らない人もいただろう。でもね、コアな部分には「確信犯」が必ずいると思う。

 口直しに、楽しい話を一つ。
 昨日の「たかじんNOマネー」に映画監督の崔洋一木村大作が出ていた。もちろんこの二人なので映画談議なのだが、これが面白かった。思想的に崔洋一は好きではない。言論の自由をかざしながら、人の言論を封殺しようとするダブルスタンダードなところも嫌いだ。それでも映画を愛するという一点だけは認めてやろう。
 崔洋一が全映画の中のベストに『ローマの休日』を挙げた。これはワシャと同じだ。
 もう一人の木村大作である。この人については知らない人もいるだろうから、紹介しておきますね。2009年の『劒岳 点の記』の監督であり、チーフカメラマンとして48本もの映画に携わっている。世界の黒澤明に高い評価を受けていたことも有名である。その木村さんが挙げた最高の1本は、やはり『七人の侍』だった。
 実はワルシャワ的には、洋画では『ローマの休日』、邦画では『七人の侍』がベストムービーなので、どんぴしゃだった。どちらの作品も中学生の時に場末のかび臭い映画館で観た。その後、たくさんの洋画邦画を観てきたが、ナンバー1は揺るがなかった。ワルシャワ少年の選択眼は正しかった。
 
 冒頭の話に戻る。沢穂希は、自身のナンバー1映画にこの『猿の惑星 創世記』を挙げた。もちろん配給担当者に言わされているのだろうから沢選手を責めることはできない。でもね、そんなことを言うと「沢穂希は映画を知らない」と思われてしまう。「猿顔」の件も含めて二重の恥を晒すことになる。
 残念ながらグランドの鬼も商業主義に取り込まれれば、この程度のことでしかない。

 結局、口直しにはなりませんでしたね。(笑)