3月11日新宿伊勢丹

 3月11日の新宿伊勢丹での映像だ。
http://www.j-cast.com/tv/2011/04/26094267.html
 店員の行動が批判を浴びているようだが、それぞれの店員の行動についてはあまり責められない。震度5以上、建物の上層階の場合、人はほとんど動けないだろう。上記の画像にこんなのがある。店員らしき男女が売り場から手を取り合って通路に出てきて、カメラの方向にやってきてフレームアウトしていくどこかに移動していくのを映し出している。
 これに対して「カップル店員が客を置いて逃げた」などと非難するコメントが多いが、どういう状況なのかは、この映像からは読み取れない。短絡的に「逃げた」と断ずるのはいかがなものか。
 客も従業員も比較的安全そうな通路に出て地震をやり過ごしている。それは正しい。問題は地震の揺れが納まった直後のことである。その人たちに従業員の誰かが大声で指示をすることが必要だった。
「皆さん、地震はいったん収まりましたが大きな余震があるかもしれません。落ち着いて行動してください」
「カバンなどで頭をカバーしてください」
「倒れそうなモノの近くから離れてください。自分の胸より高い家具や調度品から離れてください」
「従業員はただちにお客様の安全を確保してください」
「まもなく地震の情報が入ってくると思います。入り次第アナウンスさせていただきますので落ち着いて行動してください」
「建物倒壊の心配はありませんが、エレベータのご利用はお避け、順次、階段を使って屋外に避難してください」
 このくらいのことを非常時に言える機転のきく従業員を養成しておかなければならない。また、保安部門がすぐに同様の指示を場内アナウンスで流すべきだろう。その程度の防災対策はとっておかないと何事かあった場合に、いろいろ文句を付けられることになる。
 新宿伊勢丹、確かに店側の防災対応はあまい。

 そして、客の中に防災について知識を持っている人間がいるならば、その人が立ち上がって客を誘導するというのもありだろう。とくにこの映像をとっている人物など、けっこう冷静ではないか。そういう人間が防災リテラシーを身に付けていれば鬼に金棒だろう。