北京五輪開会式(4)その2

(上から読んでね)
 解説は何故か谷村新司だった。この人の発言がところどころ面白い。
「中国が人民服と自転車からここまでやってきた。これは凄いことだ」と言って手放しに褒め称えていた。嗚呼、この人は阿呆だ。どの新聞を見たって、偏向しているテレビだっていい。ちょっと覗いて見てごらん。中国といっても経済発展の恩恵に浴しているのは、沿海州のごく一部だけなんだ。だからチベットで混乱が起きているし、視線でも騒乱があった。新疆ウイグル自治区では、今や一触即発の状況があるではないか。未だにまともな服も着ることが出来ず、自転車すら載れない多くの人々がいることをハゲオヤジは知らないのか!
 この人、さらにバカを披露してくれる。入場行進の時のことである。118番目のフランスが入場してくると、観客席から喚声があった。その様子を見た谷村はこうコメントした。
「ああ、フランスと中国というのは仲がいいみたいですね」
 これに対して、今までは間髪を入れず反応していた三宅アナも青山祐子アナも絶句した。どうだろう、フランスの長く伸びた選手団の行列が通り過ぎ、次のポーランドが画面に現れるまで沈黙を続けた。
 そりゃぁ答えられませんわなぁ。中国聖火がフランス国内を走っている時、チベット問題に抗議する人権派からなんど妨害され聖火を消されたことか。サルコジ大統領は、人権を弾圧する中国に対して警告を発し、開会式には参加しないことを宣言した。この発言に刺激され、中国国内ではフランスのスーパーカルフールに対する不買運動が始まり、またフランスへの観光刊行を中国国内の旅行社は自粛したのだ。この圧力に屈してサルコジはしぶしぶ開会式参加を決意した。今でもフランス国内世論はサルコジの妥協に対して批判的であり、中国は聖火の妨害の恨みを忘れていない。フランス選手団の入場で喚声が起きたのは、たまたま大選手団であったことと、もしかしたら党から拍手をするように指示が出ていたからに過ぎない。それを「仲がいいみたいですね」と言っちまったものだから、二人の教養ある人物は沈黙せざるを得なかったということだった。谷村がここまで阿呆だとは知らなかったわい(大爆笑)。
(つづく)