気概を持てよ、アスリート

 昨日、アルピニスト野口健さんの話に触れた。チベット問題で中国共産党へ抗議をするために、ネパールからエベレストへ登頂しチベット側に下山するというトラバースの夢を捨てた野口さんは快男児と言っていい。
 スウェーデンにも快男児がいた。レスリングのグレコローマン84キロ級のアラ・アブラハミアン選手である。彼は、不公平な判定に抗議して、首にかけられたばかりの銅メダルを外してマットの上にそっと置いて会場を去って行った。アラ選手、サムライだねぇ。投げ捨てるのではなく、そっと置いたのだ。メダルへの敬意を表しつつ、しかし、強い抗議の姿勢を貫いた。お見事。
 柔道女子の谷選手の準決勝判定も疑問がある。しかし、谷選手は抗議することもなく、子どもの病気を理由に尻尾を巻いて日本に帰国した。逃げるんじゃなくて、アル選手のように抗議を示したらどうか。どうも国内向けにいい子ぶっているような気がしてならない。
 同じく煮えきらないのが野球の日本代表の星野監督である。このことは野口さんも強く抗議している。
星野仙一氏は聖火リレーのランナーを務めた際、(チベット問題について)何らメッセージを発しなかったが、これは「逃げ」以外の何物でもない。》
「男、星野仙一」ではなかったのか。なんで知らん顔を装って、笑顔で聖火リレーができるのか。星野ジャパンの思わぬ苦戦も、司令官の優柔不断な態度が起因しているように思えてならない。
 チベット問題でもいい、不公正な審判についてでもいい。閉会式で強いメッセージを発するアスリートはいないか。