葬儀以来「死」ということについて考えている。
 とは言っても、アホなワシャが考えることなど、休むに似たりなので、賢人たちの言を引きたい。
《紀元前六世紀ごろ仏陀時代のインドには、ローカーヤタと呼ばれる唯物論の一派があった。彼らは地水火風という四元素のみを実在と認め、それらの集合と分離とによってあらゆる現象が起きると考え、精神や生命も物質的要素の結合にすぎないと論じた。したがって生命がおわって死ねばそれぞれの元素が分離して元の状態に帰るから、死後には人間の存在は何も残らない。》渡辺照宏『死語の世界』(岩波新書
《土葬でも火葬でも変わらない。土の中で微生物に分解されようと、火に燃えることで酸素と化合しようと、我々のからだを構成していた分子は変化するにしても原子は変化しない。このからだは窒素・炭素・酸素・水素・イオウ・リンが九十八%を占める。むろんそのほかにも無数の微量元素があるわけだが、それらは燃えても空気中に広がるだけ。酸素と化合するしても、依然としてすべての元素たちはこの地球上からなくなってはいない。》玄侑宗久『しんだらどうなるの?』(ちくまプリマー新書
《この旅は 自然に帰る旅である 帰るところのある旅だから 楽しくてならないのだ》高見順『死の淵より』(講談社
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