愛知博雑感(3)グローバル・コモン5

 アフリカの国々が出展する一角である。といっても、パビリオンとして出しているのはエジプトと南アフリカだけで残りの国は「アフリカ共同館」という大きな建物に十把一絡げで出展している。まぁ出展といっても観光ブースと売店ばかりでどこもかしこも似たような木彫りの人形や石のアクセサリーを売っているだけで、見るべき物はない。だから入場者も足早に通りぬけてゆくばかりで買物をしている光景は見られなかった。そのためか売り子のおっさんも狭い通路に足を投げ出して不貞腐れている。
「足が邪魔だ!」
 この共同館のテーマが「アフリカ大叙事詩」だそうで、各国の多彩な魅力を紹介するそうなんだが、どのブースも画一的でつまらなかったなぁ。
 またエジプト館がひどかった。イメージとしては「大英博物館 古代エジプト展」を思い浮かべていたので、中へ入ってがっかりだった。展示物は複製ばかりで、複製なら複製でいいけれどきちんとしたキャプションを付けろよ。田舎のチンケな資料館ですらパネルでキャプションをつくって説明してるぞ。「ネフェルディティの胸像」や「ツタンカーメンの黄金の像」のキャプションはコピー用紙がセロファンテープで貼ってあって、なおかつそれが破れて曲がっていた。
「30分も並んで入った客をなめとんのか!」
 通路沿いの一画にはダンボールが積み上げられており、そこにエジプト館の関係者が何人かたむろして雑談をしている。アラビア語で喋っているから何を言っているのか理解できないが、男が面白いジョークでも飛ばしたんだろうね。女が館内に響き渡るくらい大きな声でけたたましく笑った。
「お前らここで何をしているんだ!」
 展示からもスタッフからもまったくやる気が感じられない。これなら犬山のリトルワールドのほうがはるかに上質で鑑賞に耐えうる展示をしているし、従業員の躾も行き届いている。大阪万博で感じた、「国を背負って来日しているんだ」というようなものはかけらもなかった。「ODAをくれる日本が参加しろっていうから出展してるだけ」という構図が見え見えだ。
 これほど低レベルの展示を行列までさせて見せるとは・・・企画自体が破綻していると言わざるをえない。
 この現状を中村利雄事務総長は知っているのか。入場者数が1000万人を超えたと胸を張ってもさ、所詮、張りぼての虚飾博ということになってしまう。今からでも遅くはない(100日を過ぎちまったから手遅れか・・・)。箍が外れて緩みきった外国館を立て直せ。(無理だろうけどね〈嘲〉)