国語の教科書

 知り合いの博物館学芸員から「昭和30年代の小学校4年生の国語教科書はないか?」と問い合わせがあったので、書庫の中でもがいていたら、あった。
 大日本図書株式会社出版の「国語4年−1」である。懐かしー!昭和35年発行だから45年前の教科書ということになる。それにしても表紙はなかなかモダンだ。海底の風景がアップリケで再現されている。竜の落とし子が中央やや右に浮いていて、その足下の岩には赤いイソギンチャクがくっついている。奥のほうには珊瑚や魚がぼやけて見えている。全体に緑がかった海の底である。
 もくじをみてみよう。
1 学校図書館
2 りょうしと金のさかな
3 ことばのいろいろ
4 わたしたちの生活
5 記録
6 遠足
7 夏の生活
8 ごんぎつね
 というラインナップだ。1の「学校図書館」ではすでに日本十進分類法が紹介されている。そういえば小学校4年生のころによく学校の図書館に通ったことを思い出した。2の「りょうしと金のさかな」は「スペードの女王」を書いたロシアのプーシキンの作品である。結構、いい作品を使っているではないか。「欲張ると元も子を無くしますよ」という道徳教育の教材にもなっているんだね。3の「ことばのいろいろ」では共通語と方言のことをとりあげている。「ちがった地方の人たちと話し合う場合には、どうしても共通語がひつようです。」だって。まだこのころはテレビなど普及していないから方言が色濃く残っていたんだろうね。4の「わたしたちの生活」では学級新聞の作り方を教えている。5の記録は「かたつむりの観察日記」が取り上げられている。「生物」へのアプローチもしてあるわけだね。6の「遠足」は「遠足」という脚本を読ませる。凄いね、小学校4年生でっせ。脚本という字にルビがふってないのも凄いね。4年生の教科書は1と2と2冊で構成されているので、4−1の後半に「夏の生活」が取り上げられる。「ちょう集め」の話やちゃっかり「先生への手紙」も載せてある。教科書編集者なかなか考えておるのう。
 そして巻末は「ごんぎつね」だ。新美南吉の有名な童話である。この話、あんまり好きじゃなかったなぁ・・・だって悲劇だもんね。
 すっかり忘れていたが、小学生の頃、結構、密度の濃い勉強していたんだね。
 思い出した。ワシャもこの頃までは勉強が好きな子どもだったんだ。