名古屋市の東、猪高・天白・鳴海に広がる第三紀層丘陵地が好きで(なんのこっちゃ)天気がよかったので昨日もいそいそとでかけた。もっぱらうろうろしていたのは緑区滝ノ水界隈で、残念ながらワシャは花の名前に疎いので、ツツジくらいしか特定できないが、滝ノ水公園には幾種もの花が百花繚乱で息苦しいとまでは言わないが、濃密な香りが漂っていた。
その滝ノ水公園なのだが、この辺りでは一番標高が高い。現在のように周辺が住宅開発される前は、この公園が周辺山塊のピークだったのだろう。その公園に登って南を眺めれば、遠く南西の方向に大高緑地の叢林と、その西に鷲津砦公園の緑が認められる。ここから見える地形は大きく様変わりはしているが、その昔、つはものどもが覇を争ったまさに戦場だった(桶狭間の合戦に代表される一連の織田・今川戦争がこの一帯で繰り広げられた)。
愛知県城郭分布図を見ると、この丘陵の南側に城や砦が多く配置されていた。ざっとだが東から善照寺砦、中島城、鳴海城、丹下城、丸根砦、鷲津砦、大高城などが三河、駿河方面からの侵攻に備えるために築陣されている。
また、滝ノ水の北には三河加茂方面からの侵入に対応するため、島田城、植田城、梅森城、赤池城、浅田城などが築城されているのである。
ところがその間にある滝ノ水周辺にはまったく城砦が存在せずぽっかりと空白域になっているのだ。何故だろう?
答えは簡単で、戦国時代、この新興住宅地あたりは鳥も通わぬほど(ちょっと大げさだけど)山深かったに違いない。少なくとも軍を進めるのが可能な地形ならば織田側は砦なりを作って守備固めをする必要があるにもかかわらず、例えばこの滝ノ水公園の立地などは城づくりには持ってこいなのだが、まったくそういった手を打ったという形跡がない。それはとりも直さず鳥も通わなかったのでは、という結論を導き出すのである。
そんなことはともかくも、この辺りはお洒落な街になっていく可能性を秘めていると思う。まだまだ荒削りだが、10年後、20年後が楽しみなところである。
きょろきょろしながら歩いていたら、「しまった!」また、ブックオフを見つけてしまった。ワシャの思いとは裏腹に足は勝手に店の中へと向かうのであった。