西三河では田園地帯で粘土の採掘が頻繁に行われている。この粘土が高浜あたりに運ばれて三州瓦になるのである。
粘土の採掘はこういった手順で行われる。まず粘土採掘業者が農地の所有者に交渉して土地を借りうける。もちろんこの際に金が動く。業者は作土をはねてその下の土を掘り起こし粘土層をだけをいただく。その後、埋め戻しをして作土をのせて所有者に返すのである。戻してしまえばどこが粘土採掘をしたところだったのかは、一目ではわからない。
この粘土採掘現場で時として不思議なことが起きる。業者が埋め戻しを始めると、昨日まで採掘現場の脇に放置されていた何台かの廃車が一夜のうちに忽然と消えたりする。あの車はどこへ旅だったのだろうか。
また雨の日の深夜に限って大型トラックが頻繁に出入をする。粘土業者というのは夜中まで実に働き者である。
本来、粘土を採掘した後は土で埋め戻さなければいけないが土は高い。だから金のかからないもの、あるいは金のもらえるもので埋め戻せば一挙両得というわけだ。噂だがかなりの廃棄物が三河の田園風景のなかに消えている。整然とした圃場の下には大量のゴミが埋まっているのかもしれない。
こんな話もある。土地改良事業という農地の灌漑、排水、区画整理をする農業の生産性を向上する事業がある。この事業が予定されると突然粘土採掘がさかんになるのである。なんでか?というと、この圃場整備をすると自分の所有する田圃の位置が換るのである。それならば地中に埋まっている粘土をあらかじめ掘りつくし、後は野となれ山となれで、土地改良をやって別の換地をもらってそこの粘土もいただきとなるわけである。それでも三河の百姓は強かだから、お互いに粘土を掘りあって産業廃棄物で埋め戻したりしているからどっちもどっちということになる。こういった不良土地は無理やり宅地転用させられて分譲で売り出されることがある。そうなるとかわいそうなのは虎の子をはたいてそこを買った貧しい都市生活者たちということになる。足下にゴミが埋まっているとも知らずに二束三文の土地を何千万円もの虎の子をはたいて買わされるのだ。いずれ腐食した車両が潰れて土地が陥没して家が傾くなどということも起きかねない。桑原桑原。
あれっ?おれんちの土地も昔農地だったような・・・(愕然)