ちょっと早いけど九州場所総括

 大相撲九州場所はほとんど見なかった.朝青龍の独走が見えていたし大関陣の不甲斐なさも分っていたからである。案の定、綱取りのかかった大事な初日に小心者の魁皇は格下の琴光喜に取りこぼし、武双山は4日目で引退し、栃東は6日目で大関を陥落し、千代大海は負け越してしまった。
 大相撲の低迷の要因はひとつにはこの不甲斐ない大関陣にある。負け越す、あるいは休場する。角番に立つのだが8勝で辛うじて勝ち越しして大関の地位にしがみつく。勝ち越しの次の場所はまた負け越しか休場だ。体調が悪いのは理解できる。しかしファンは大関たちの帳尻合わせを楽しみにしているわけではない。横綱を向こうに張って優勝争いに加わって織り上げてこその大関ではないのか。「無事これ名馬」というがこれは大切なことだ。悲劇の大関ばかり何人もいらない。
 とくに魁皇、実は昔から好きな力士なのだが、間の悪さは天下一品だ。14日目ですでに3敗している。ファンの多くが綱取りをあきらめていた。で、どこに楽しみを見出そうかと四苦八苦した挙句、2敗で朝青龍にくっついている若の里である。これだ!「若の里、がんばれ。千秋楽までもつれこめ」と、思っていた矢先に魁皇が土をつけてしまった。若の里も不甲斐ないのだが、なにもこんなところで張りきらなくてもねぇ。おかげで朝青龍の優勝が確定し、これで千秋楽は見なくても済みそうだ。
 魁皇にはまだ横綱に昇進する可能性があるという。今日、朝青龍に勝った場合である。それにしても12勝3敗で横綱っていうのもねぇ、横綱に昇進する時は日の出の勢いで上がって来て欲しいものだが、日の入りが地平に引っかかっているような常態では昇進しないほうがいい。力もないのに横綱にすれば力士生命を短くするばかりである。こうなったら魁皇にはいやな大関になってもらって下から上がってくる白や黒、ヨーロッパやロシアの前に立ちはだかり大相撲の厳しさを教えてやってくれ。