ケセラセラ

 もう20年も前の本なのだが、ひろさちや『まんだら人生論』(新潮文庫)がおもしろい。世紀末の1995年に上梓されたもので、しかし今読んでもまったく色あせていない。《ほとけさまの教え、ほとけさまの智恵をエッセイ風に綴った》とあとがきにあるが、見開き2ページの短い文が三千年紀に入って疲れているお父さんたちには一服の清涼剤となろう。
 その中に《「なるようになる」心配より開き直り》という章がある。ある会社経営者の話で、会社の倒産直前は、なんとか危機を乗り切りたいと必死だった。金策に奔り、夜も眠れない。憔悴するばかりなのだが、《倒産してしまったあとは不思議に心はさばさばした。》とある。
 未到来にことに、我々は少し臆病になっていないだろうか、ということである。そこに到ってしまえば、考え込んでいたほどのことはない。人生には「なるようにしかならないもの」それがいろいろとある。結果を先取りして思い悩むな。
 夕べ、たまたま脱衣所の書棚に並べてあった本から適当に抜いて、それを湯船につかりながら読んだ。30分くらいだったけど、心も体もほっこりしたのだった。