怖くない妖怪

 柳田国男が昭和37年に亡くなっているが、その頃までは、日本のあちこちに妖怪が棲んでいた。まだ夜が深かった時代である。それが今や、大物妖怪の雪女でさえスプレー缶に追い立てられ居場所を失った。
妖怪ウォッチ」が入手困難だと話題になっているが、このゲームに登場する妖怪は、妖怪じゃない。「ゲゲゲの鬼太郎」に登場する善玉の妖怪も明るすぎる。もっとおどろおどろしくなければ妖怪とは言えない。
 キャラの明るさも妖怪らしくないが、実際の明るさも敵だ。辻辻が街灯で明るくなると、妖怪の棲み処である闇が消えていく。
 そして現実というやつが、もっとも妖怪にとっての天敵となる。現実の前には、かげろうのようにほのかな妖怪たちは太刀打ちするすべがない。もっと妖怪を大切にしてやらないと、人間社会はどんどん殺伐としていくんでしょうね。