バグバーガーはいかが

 へぼ飯をご存じだろうか。
 へぼ(地蜂)の巣をとってきて、裏から軽く火であぶると、幼虫が巣から這い出してくる。巣を逆さまにしてトントンと叩いてやると、バラバラと落ちてくる。これを集めて砂糖、醤油、酒を使って煮立ててつくだ煮にする。これを炊きあがったご飯に混ぜ合わせれば出来上がり。
 ワシャは小学生の低学年の頃に、東美濃の農家で初めてこれを食したが、実に美味しかった。その他にもイナゴのつくだ煮、ざざ虫(カワゲラの幼虫)なども珍味だ。地域によっては、まきの木や柳の木に巣くっているテッポウムシ、ヤナギムシなどを串に刺してあぶって食うところもある。

 ある昆虫学者が「昆虫が地球を救う」と言っている。21世紀に入って新興国人口爆発が起きる。そうなれば世界は食料不足の時代に突入するだろう。その時に活躍するのが、昆虫だというのである。
 すでに人類の5人に4人は昆虫を食べている。ワシャもその80%の人類の一人だ。慣れれば昆虫食も悪くない。効率の面から考えても、昆虫から動物性タンパクを摂取するのが最もよろしい。
 例えば10キロの飼料で、1キロの牛肉を得ることができる。豚肉なら3キロ、鶏肉なら5キロである。しかし、イナゴなら9キロが得られる。昆虫は換算効率がきわめて高いのだ。
 その上に、昆虫は世界各地に豊富に存在する。これは間違いなく持続可能な食料と言っていい。

 もちろん、昆虫の形状やイメージが苦手という人も多いだろう。でもね、そういった昆虫を加工食品にしてしまえばおいしくいただけるのではないだろうか。例えばバグバーガー、昆虫タンパクをミンチにして成形し照り焼きにすれば元の素材なんてわからない。マヨネーズとからしをつければ、おいしい昆虫バーガーの出来上がりである。

 物事は考えようである。寿司ネタでも美味しいシャコは、漢字では「蝦蛄」と書く。虫偏、虫偏ですよね。サザエでもカタツムリのでかいヤツだし、エスカルゴなんてもろデンデンムシだわさ。
 そう考えれば、昆虫食もまんざらではあるまい。

 手塚治虫の『火の鳥』の太陽編に、未来の地下都市の市場が出てくる。そこで売られているのはざざ虫だったりゴキブリだったりする。主人公のスグルは無菌ネズミのから揚げと、ゴキブリの油漬けを食している。
 いずれこういった時代が来るのかもしれませんぞ。ホッホッホ……。