被災地を知らない自己満足優先型支援者の愚 その2

(上から続く)
《私たちが子供のオムツやピンクの長靴、靴下などを持っていくと、“そんな要望ないんだよな”といわれてしまいました》
 それが本当だろう。くどいようだが、被災地はスペースが足らない。いらないオムツや長靴など持ってかえってもらいたいくらいだ。
 この女性、悔しくて眠れなかったらしいが、それはあんたが、なんの基礎知識もなく、事前にニーズの調査や現場に問い合わせることもなく、ひたすら自己満足を充足させるためだけに突っ走ったことを悔やむがいい。
《救援物資として届いた和菓子を、腐ってしまうからと、避難所に届けずに、食べてしまう人もいたという。》
 これも災害現場では当たり前といえば当たり前の行為で、この女性がずっぽりと漬かっている自己中心的日常とは違うのである。
 東北に行かせてもらえないから、中越の話をする。
 あのときは、早い段階で古着を送ってくる人が多くいた。元々古着など中越の被災地ではニーズがなかったのだが、脳天気な支援者は、タンスにたまったゴミを段ボール箱に詰めて送ってくる。おまけに衣料の詰められた段ボールの中に「おにぎり」などを忍ばせて送ってくる善意を履き違えた人が多かった。被災地の人に食べて欲しかったのだろうが、そんなものは輸送の途中で腐り始め、到着した頃には腐臭が漂い始める。
 中越にボランティアで入ったとき、そんなゴミのような衣類を捨てるために整理をしていて、「迷惑な善意」があることを知った。

 そもそも被災地に生菓子を送ってくることがどだい非常識なのである。被災地は生菓子など欲しがっていない。被災地の人々はもっと切実なのである。命が掛かっていると言ってもいいだろう。
 でも、「迷惑な善意」といえども、送り届けられた以上、送り返すもならず、さりとて捨てるもならず。被災者に配ろうにも、数がそろっていなければいさかいのもとになる。避難所ではモノの数が足りず大喧嘩になってしまうこともままあった。それでは放置しておくか。放置しておけば生だからすぐに腐ってくる。
 この女性、こんな面倒くさい代物をどうしろというのだろう。避難所に届けずに食ってしまう、それが被災地では一番いい方法なのだ。
 自分の無知を知らず、自己流の善意をぐいぐいと押し付け、それが受け入れられないと、「被災地の受け入れ態勢が悪い」「ボランティアの態度が最悪」とか言いふらしているんじゃないよ。