終戦は明日だったのか(占守島と帰らざる夏) その3

(上から続く) 
 占守島日本陸軍の精鋭――この時点で精鋭が最果ての島に残っていたことが奇跡といっていい――が守っていた。全軍に3日前の終戦は伝わっている。誰もが「生きて本土に帰れる」と安堵したに違いない。しかし、領土の拡張をもくろむスターリン帝国は占守を急襲する。この時の日本の兵士たちの気持ちはいかばかりであろうか。
 日本軍をなめていたソビエト軍は手痛い反撃をこうむるわけだが、どちらにしても物量に勝るソビエトの敵ではなかった。だか、この占守島の抵抗があったから、北海道にソビエト軍を上陸させなかったとも言える。

 余談だが、この周辺の物語を浅田次郎が書いている。新刊の『終わらざる夏』(集英社)である。まだ、上巻しか読了していないが、占守島戦に参加することになる兵士たちの群像が見事に描かれている。

 この状況を知って判断してほしい。

 昭和20年以前の日本は一方的に悪の帝国だったのか。
 米英ソの連合国側はすべて「善」だったのか。
 日本人は全員、軍部に蹂躙されていたのか。
 日本全土を焦土にしたアメリカは日本の国民を救ったスーパーマンだったのか。
 朝鮮半島を併合したのは本当に「悪」だったのか。
 世界が帝国主義の熱に踊らされているときに、アジアで唯一開明していた日本だけが、欧米列強と別の道を歩むことが可能だったのか。
 英、仏、米などがブロック経済で日本を閉め出す中、資源のない日本がアジアに活路を見出すことが「悪」だったのか。
 中国軍にインドシナルートで兵器や軍事物資を流していたアメリカは「善」なのか。

 物事は単純ではない。裏もあれば側面もある。もちろんワシャがここに書いたことすら一面的で単純な話だろう。ことほど左様に歴史というものは、それもいろいろな国や民族のからむ歴史は複雑怪奇だ。それを簡単に「謝罪」などするものではない。
 菅談話にむしょうに腹が立っている。
 英霊たちに感謝をしない閣僚に怒りを覚える。
 誰が北海道をスターリンの毒牙から守ったのか。言ってみろ仙谷由人