聖護院の蕪(しょうごいんのかぶ)

 仏さまにお会いする一番いい季節は冬だろう。凛とした寒さの中に毅然と立つ仏さまの姿がいい。
 東寺講堂には21の仏さまがいる。宝冠をかぶり、臂釧・腕釧(ひせん・わんせん)をつけ、左手の人差し指を右手で包みこむ智拳印を結ぶ大日如来を中心に諸仏が居並び、それはそれは豪華な賑わいである。
 大日如来は太陽のことである。すべての恵みが太陽からやってきているということを、科学というものを知らずとも古代の人々は知っていた。あるいは現代人よりもはるかに存知していたからこの仏さまに拝跪したのだ。
 この星に生きとし生けるものは、例外なくすべて太陽からのエネルギーを受けて存在している。ガソリンだって太陽が悠久の時間を費やして作ったエネルギーだし、日々いただく食物はまさに太陽が育てている。そういった意味からいえば、大日如来を拝むことはまことに理にかなった行為といっていい。
 石油ピークをむかえ、資源の枯渇が盗り沙汰去れている昨今、太陽光発電が見直されているのは歓迎すべきなのだろう。
 大日如来の尊貴なお顔を見上げながら、そんなことを考えていた。

 京都駅にもどって、JR京都伊勢丹の地下でお土産を物色。ここの地下にはずらりと漬物屋が並んでいて、これがまた味見をしながらうろついているとビールが欲しくなってしまうんですな。中でも、聖護院蕪千枚漬は美味い。試食をさせてもらったが、ううむ、このしゃきしゃきとした歯ざわり感は「丹波産でげすな」と売り子のオバさんに問うと、「へい、そうどす」と答えるではあ〜りませんか。
 なんだかこう書くとワシャが漬け物に詳しいようだが、聖護院蕪の産地の丹波をたまたま知っていただけのことで、知ったかぶりをしただけのことなのじゃ。あるいは売り子さんが、知ったかぶりの観光客に話を合わせてくれただけかも知れない。
 京都にくると買うものがある。
http://www.ojako.com/index2.html
 この「山椒ちりめん」が美味いんですね。結局、待ちきれずに新幹線の中で封を空けてビールの肴にしてしまいました。
 最後に鳥羽の菓匠高野屋貞広http://www.takanoya.co.jp/
の銘菓「花の宵」を買うて帰路につきましたどすえ。めでたしめでたし。